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新興国情報

大統領選の混乱から早くも回復しつつあるコートジボワール経済
2011/07/22

アフリカ西部の国コートジボワールでは、昨年11月の選挙後に大統領が一時的に2人存在し、それぞれを支援するグループ間で内戦状態とも言える事態に陥り、最終的には、今年4月のバグボ前大統領の拘束で事態に幕が下りました(詳細はこのブログでも取り上げました)。選挙後の混乱については、日本でも比較的多くのメディアでも取り上げられましたが、その後についてはほとんど触れられていません。そこで今回のブログでは、最近のコートジボワールの金融・ビジネスの一端を紹介してみたいと思います。

まずは国債。コートジボワールは2032年に満期を迎えるドル建て国債23億ドル(約1,800億円)を発行しています。大統領選に伴う混乱のさなか2010年12月末に迎えた利払いは、猶予期間を過ぎても支払いがなされず、債務不履行(デフォルト)となりました。また混乱収束後の6月分の利払いも依然として事態は混乱していたためできませんでした。同国政府は今月に入ってから、大統領選後の混乱で受けた経済的なダメージを勘案すると、2011年中の対外債務に関する支払いは不可能だろうという見通しを発表しています。南アフリカを本拠とするスタンダード・バンクの英国子会社所属のアナリストは今回の発表を受けて、同国政府の国際金融市場における資金調達は当面苦しい状況が続くだろうとみています。

しかしながら、旧宗主国フランスをはじめとした欧州連合、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、アフリカ開発銀行などは同国への財政支援を実施することを明らかにしています。このことから市場ベースでの資金調達は苦しくとも、当面の国家財政は(余裕があるわけではありませんが)まずはどうにかなりそうという感じです。財政の安定化は、国の復興、治安維持にとって重要な公務員や軍人の給与支払いに直結する問題であることから、国際社会が厚く支援をすることは、少なくとも現時点ではきわめて意義の高いことだと思います。

次に民間ビジネスですが、こちらは回復を見せつつあると言えます。もともとコートジボワールはアフリカ西部のフランス語圏で中心的な位置を占めており、フランス語圏西アフリカ内陸国へのゲートウェイにもなっています。海外企業は、大統領選の混乱により投資をいったん停止したものの、ほとぼりが冷めるのを手ぐすねを引いて待っているという状況でした。それが徐々にではありますが、投資が始まっています。

例えば韓国の現代自動車は今月、コートジボワールの首都アビジャンに新たにショールームを開設し、同国内市場シェアを現在の15%から20%に拡大を目指すことを発表しました。(ちなみに同国の自動車最大シェアはトヨタです)。また旧宗主国のフランスからは、レストランチェーンのヒポポタマスが先月、首都のアビジャンに店舗をオープンしています。重電企業のアルストムも本格的に進出をする可能性があると報道されています。

もともとコートジボワールには200社ものフランス系企業が活動をしていると言われています。また大統領選の混乱においても同国に踏みとどまった外資系企業も少なくありません。例えば米国の穀物メジャーADM、英国のタロー・オイル、インドのタタ・スチールなどはそのまま残っています。

在京のコートジボワール人と話をしたところ、現在のところ経済中心都市アビジャンの治安は安定していないといいます。しかしながら、もともといた海外企業は踏みとどまっていること、新たな海外企業の進出も活発になりつつあること、さらには同国トップのワタラ大統領が国際通貨基金のアフリカ局長や専務理事顧問、西アフリカ中央銀行のトップを歴任するなど同国きっての経済通であることなどを考えると、経済面での中期的な見通しは明るいと考えています。

(佐藤 重臣)

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