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新興国情報

爆発的な発展を見せるジンバブエ携帯通信市場
2011/07/29

ジンバブエというと、どういったイメージをお持ちでしょうか。このページをご覧になる方々であればジンバブエという国を聞いたこともないというケースは少ないと思いますが、それでも「独裁政治&ハイパーインフレーション」というイメージではないでしょうか。

実際、独裁政治はまだ続いていると言えます。2002年の大統領選挙以降、現在のムガベ大統領が率いる与党ZANU-PFはその軍事・治安部隊を利用して対立する野党MDCに対する圧力をかけ続け、2008年の大統領選では野党支持者が投票に参加できなかったり、圧力をかけられた結果、与党に投票せざるを得なかったりという事態に陥りました。現在は、南部アフリカ開発共同体の仲裁などもあり、ムガベ大統領と野党MDC党首のツァンギライ首相の双頭体制となっています。一時期に比べると状況は改善しているものの、権限の多くは大統領が握っており、事実上の独裁体制に近い状態です。

一方で、ハイパーインフレは終息しています。2008年の大統領選以降の経済の混乱と度重なる紙幣発行で一時期は年間インフレ率が2億パーセントを超えるという想像を絶する事態になりました。しかし2009年に米ドルと南アフリカランドによる決済が正式に認められ、現在はこれらの通貨が事実上のジンバブエ通貨として機能しています。その結果、同国のインフレ率は、今年12月までの1年間で7%程度と見込まれるほどに安定しています。

経済が安定した結果、爆発的な成長を見せたのが携帯電話セクターです。今年6月時点の報道では、同国の加入者数は670万人(対人口比普及率53.5%)。携帯通信事業者は最大手のエコネット・ワイヤレス(加入者数420万)、第2位の国営企業ネットワン(同130万人)、第3位のテルセル・ジンバブエ(同120万)です(ちなみにエコネット・ワイヤレスのウェブサイトを見ると2011年2月末時点の加入者数が550万となっていますが、同国で行われたSIMカードの個人情報登録手続きによって有効なSIMカード数が減少しました)。

「爆発的な成長」と形容したのは、加入者数増加ペースが極めて高いためです。最大手のエコネット・ワイヤレスですら、2008年2月末時点では加入者数は65万にすぎませんでした。それが2009年2月末時点で120万、2010年2月末時点で350万、2011年2月末時点で550万(SIM登録手続前数値)とここ4年間で急激に拡大しているためです。

加入者数は今後も拡大を続ける予定で、2015年には現在の倍にあたる1,350万人に達するとの予測もあります。市場規模で言えば、2016年には13億ドル(約1,000億円)を超えるとも言われています。

また国営企業ネットワンについては、母体となる政府の財政が厳しいことから、今年に入って、民間企業からの資本受け入れが可能となりました。このことを受けて、インドを本拠とするバルティ・エアテル、南アフリカを本拠とするMTNなどがすでに接触していると言われています。

政治面での不安が残るジンバブエですが、少なくとも携帯通信市場では海外からの投資も含めて当面は活発な動きが見られそうです。

(佐藤 重臣)

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