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新興諸国情報

脚光浴びるカンボジア、政治の安定と日本への高い信頼
2011/02/07

カンボジアは最近になって日本からの投資先として注目を集め始めています。カンボジアへの投資のメリットについてお話したいと思います。

(1)政治・社会の安定

カンボジアは内戦を経験していますが、既に20年ほど前のこととなり、今ではアジアでも最も安定した国となっています。フンセン首相の口癖は「カンボジアはタイのようにはならない」です。3回の総選挙を経て、与党人民党は議会で絶対多数(123議席中90議席)を確保しており、政治的には盤石な状況です。テロもなく、治安も良好な平和な国となっています(注)。

(2)親日的

内戦時には、米中ロなどの主要国から様々な圧力を加えられましたし、タイやベトナムといった周辺国とは干戈(かんか)を交えたこともあるため、中立的な日本はカンボジアから本当の友好国とみられています。また、日本は、フランスからの独立時にはシアヌーク前王を支援し、内戦終了時には和平工作を主導し、内戦後は最大のODA(政府開発援助)供与国としてカンボジアの復興・開発を支援してきました。これらのことについてもカンボジア政府は今でも大変感謝しているとの発言を繰り返しています。2010年5月に国賓として来日されたシハモニ王の幼名は「トーキョー」と名付けられたほどです。日本への信頼と期待は大変高いものがあります。

(3)高い潜在成長率

カンボジアは1998年から2007年までの10年間の平均成長率が9.4%とアセアン諸国の中で最も高い成長を達成しています。2009年は危機の影響で成長率はマイナス2.5%まで低下しましたが、IMF(国際通貨基金)の予測では2010年は4.8%、2011年は6.8%、来年以降は6−7%の成長が予測されています。日本の成長率は1−2%ですので、カンボジアの高成長率は、やはり大きな魅力です。

(4)メコン地域の真ん中:南部経済回廊

カンボジアは、地理的にはベトナムとタイという日本企業が多数進出し集積を高めている国に挟まれた抜群の場所にあります。特に、日本政府が推進している「アジア大動脈構想」のコアとなる南部回廊は、ホーチミン〜プノンペン〜バンコクを結ぶもので、カンボジアにも大きな好影響を与えるものと思われます。また、多くのFTA(自由貿易協定)により、カンボジアで安価に製造した製品・部品を日本、中国、韓国、インドやアセアン各国に無税で輸出することが可能になっていく見込みです。

(5)安価な労働力

プノンペン経済特区に進出した日本企業「春うららかな書房」。漫画の古本を整備・整理して日本に送り返しています

タイ、中国、ベトナムなど日本企業が多く進出している国では労賃の上昇がコストアップの要因となっていますが、カンボジアはアセアンでも最も労賃が低い国の一つです(最低賃金61ドル/月)。また、若年労働人口が多く、今後10年は毎年30万人程度の若者が労働市場に参入してくるとみられていますので、当面労働力確保(単純労働)には困らないものと思われます。

カンボジアはまだ途上国ですので様々な課題もありますが、その一方でいろいろなメリットもあります。ぜひ、カンボジアの「良いところ」を見つけていただきたいと思います。

(注)タイとカンボジアの軍隊が4日以降に国境付近で交戦した問題がカンボジア経済に与える影響は、現時点(7日)で限定的と考えています。理由は以下の通りです。
1.タイとの紛争は以前からあるが、影響は限定的
 タイとの武力紛争は、2008年10月3日以来、散発的に続いていますが、今のところカンボジア全体からみると大きな影響を与えていません。昨年の日中尖閣諸島問題時、中国が日本にレアアースの禁輸処置を取ったときと違いタイ側は禁輸などの経済的措置を取っていません。
2.タイとの紛争地域は限定的
 タイとの紛争は、国境のごく一部に限定されたものです。
3.両国政府はエスカレートを望まず
 カンボジア側、タイ側とも武力紛争の拡大を望んでいないのは、これまでの経緯からも明らかです。タイ側は、独走しがちな軍部を政府がおさえるという流れです。
 日々の情勢は筆者のブログ「カンボジア経済」でお知らせ中です。2月6日版をご参照ください。

(鈴木 博)

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