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新興国情報

特別寄稿:WHY BANGLADESH? 私たちはなぜバングラデシュに注目するのか?
2011/03/23

バングラデシュは、ゴールドマン・サックスが2005年に発表したレポートの中で、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の次に成長が期待される「NEXT11」の1つとして取り上げられたことで注目され始めましたが、まだまだ日本では一般的に知られていません。

私たちは、(1)労働人口の豊富さ、(2)消費市場としての成長期待、(3)政府の外資誘致政策、(4)安価な労働者の人件費、(5)政治の民主化が進んでいる親日国家、といったことを踏まえてバングラデシュに注目しています。

1.労働人口の豊富さ

バングラデシュの人口は約1億6,000万人で世界7位。日本の4割ほどの面積しかない国土(14万4,000平方キロメートル)に、日本の約1.3倍もの人々が住んでおり、人口密度は1平方キロメートル当たり1127人で都市国家を除くと世界ナンバーワンです。この点が他の新興国とは異なるところです。この人口の多さがバングラデシュの大きな魅力となっています。人口構成は典型的なピラミッド型で20代以下の若年層が人口の3分の2を占めています(図1参照)。

図1 バングラデシュの人口ピラミッド

図1 バングラデシュの人口ピラミッド

※「Bangladesh 2007 Demograhic and Health Survey」から筆者が作成

若年層の教育水準が高まり生活水準の向上がみられる中で、人口は年率1.4%程度の割合で増加しており、2050年には2億9,000万人に達すると見込まれます。

2.消費市場としての成長期待

1億6,000万人の人口のうち3,000万人が消費市場に参加していると言われており、サービス業の発展を支えています。産業構造が第1次産業から第2次産業、第3次産業へと高度化する中、人口が着実に増えています。それによって想定されるのは大規模な内需の拡大です。現状は出稼ぎ労働者からの送金が消費を支えている側面があります。バングラデシュの貿易収支は赤字ですが、経常収支は黒字で外貨準備は増加しています。それは中東などでの建設労働者からの送金があるためです。2009年度の貿易赤字55億ドルに対して出稼ぎ労働者からの送金額は110億ドル。貿易赤字の倍の送金が海外からあるという現実があります。

今後は国内での所得の増加と消費の増加が連動する形になるかと思われます。特に人口構成では20代以下が3分の2を占めている点が注目されます。この若年層が5年後、10年後に30代になり、住宅や自動車、家電製品の購入など消費の主役になるとバングラデシュの消費市場は飛躍的に拡大すると考えられます。

3.政府の外資誘致政策

バングラデシュは外資を誘致しようと努めていますが、インフラが整っていないことがネックとなり、十分には誘致ができていません。中国や韓国に比べて日本企業の進出が少ないのも、そのあたりに原因があると思われます。インフラの整備によって外資が進出しやすくなることで、さらに経済発展が加速すると期待されます。

4.安価な労働者の人件費

中国での人件費高騰がチャイナリスクとして意識される中でバングラデシュの労働コストは安価で世界の製造工場となる可能性を秘めています。若年層中心の人口構成から安価な労働力の供給が長期にわたり見込まれます。昨年20年ぶりに最低賃金が引き上げられたとは言え、ベトナムなど他の新興国と比べてコストの低い労働力を活用する動きは今後も続くと考えられます(図2参照)。

図2 バングラデシュの首都ダッカとアジア主要都市の賃金比較:ワーカー(一般工職)年間実負担額

図2 他の国々との賃金比較:ワーカー(一般工職)年間実負担額

※JETRO“第20回アジア主要都市・地域の投資関連コスト比較”から筆者が作成。

5.政治の民主化が進む親日国家

バングラデシュは穏健なイスラム国家として欧米先進国とイスラム諸国をつなぐ役割も担っています。世界中で民主化への要求が高まる中でバングラデシュは1991年に憲法の改正を行い、議員内閣制がスタート。以降、5年ごとに総選挙を実施しアワミ連盟とBNP(バングラデシュ民族主義党)が交互に政権を担う民主的な政治体制が整っており、政治体制は安定しています。

また、日本とバングラデシュの関係は良好。1971年にパキスタンから独立した時に、アメリカや中国などに先駆けていち早く国家として認めてくれたのが日本で、1994年に日本が国連安保常任理事国入りを表明した際に、南アジアで初めて支持をしてくれたのがバングラデシュだったということなどから、両国の交流は盛んです。ただ、こうした親日の国家としてのバングラデシュを日本ではまだ十分に活かしていない状況です。

しばしば大洪水に見舞われ、世界最貧国とも称されるバングラデシュを私たちは以上のような理由からポジティブにみています。

インフラが整備され消費市場の成長が見込まれます同国に寄せる期待が高まる中で、ダッカ証券取引所の株価指数も昨年は大きく上昇しています。経済規模や株式市場の時価総額が日本の100分の1程度に過ぎないバングラデシュですが、今後の経済成長への期待は高まっています。バングラデシュ独特の金融制度として普及しています「マイクロファイナンス」や「ソーシャルビジネス」への取り組みの面白さも日本企業にとっては関心の的となっています。政府が取組む2017年度の実質経済成長率の伸び率10%の計画が達成できれば、バングラデシュが日本の重要な貿易相手国に発展していくと大いに期待されます。

(ルナージア・インベストメント(株) アドバイザー 松尾範久)

関連イベント情報:3月25日(金)の午後7時半から東京都港区六本木の「ワールドインベスターズ・トラベルカフェ」で、バングラデシュの経済・投資をテーマにしたイベントが開催されます。豪華パネリストがバングラデシュの魅力を熱く語ります。詳細はこちら(PDF:http://www.worldinvestors.tv/guide/seminar_20110325.pdf)をご覧ください。

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