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新興国情報

世界銀行がカンボジアの成長率予測を引き上げ、輸出が引き続き好調と予想
2011/03/28

活況が続く製靴業。シアヌークビルにあるニュースターシューズ社の工場です

3月21日に世界銀行は、東アジア太平洋アップデート(2011年3月版)を発表しました。この報告書は、年2回春と秋に発行されています。

カンボジアの2010年の成長は世界銀行の予測を上回り、成長率(見込み)はこれまでの4.9%から6.7%に引き上げられました。要因は、第一に縫製品と靴の輸出が大幅に増加したことです。前年比で縫製品輸出は24%増、靴は60%増となり、これらの産業での労働者数は5万5,300人増加しました。次が観光です。観光客は16%増の250万人、観光収入は14%増の18億ドル(約1,460億円)となっています。農業も安定的な成長(5.3%)で、経済を支えています。銀行セクターも好調としています。建設・不動産はまだ足踏み状態が続いているとみられています。これらの要因を導いたものは、アジアの力強い成長、米ドルの主要通貨に対する減価による輸出競争力向上などにあると分析されています(カンボジアは「ドル化」経済ですので、ドルが、対円や対元、対ユーロで減価すると、日本向け、中国向け、ヨーロッパ向けの輸出競争力が改善します)。

2011年についても、成長率予測をこれまでの6.0%から6.5%に引き上げました。輸出は世界経済の回復に支えられてさらに成長すると見込まれています。また、EU(欧州連合)の原産地規則の緩和もカンボジアにとって有利に働くとみられます。投資も、海外直接投資の回復と国内商業銀行の貸付増でさらに進展するとみられています。海外からの直接投資は、2010年はGDP(国内総生産)比5.4%、2011年はGDP比6.0%に達するものとみられています。海外からの資金流入で、外貨準備も順調に伸びており、2010年末で27億ドル(約2,200億円)、輸入の4カ月分と優秀なレベルです。

新興国の中国やベトナムは、今年に入りインフレの兆候に悩まされており、経済をクールダウンするために成長率を引き下げる方向の政策をとらざるを得なくなりつつあります。しかし、カンボジアの物価上昇率は2010年は3.1%と低く、2011年も5.0%程度とみられています。

為替レート(リエルと米ドル)も安定しており、2010年はリエルが対ドルで3%上昇しました。これもドンの減価に悩むベトナムとは好対照です。

カンボジアは、縫製業と観光に偏った産業構造を多角化したいと考えています。このためには日本を中心とする製造業、部品産業などの直接投資が期待されています。また、昨年発表されたコメの生産・輸出促進政策も重要な方向とみられています。2011年にカンボジア政府は、3,800万ドルの信用保証スキーム(精米業者のモミの買い付け資金向けの民間銀行からのローンの一部を政府保証するもの)や、1,800万ドルの農業支援開発基金(農村開発銀行から、農民向け短期金融、精米業者向け中期金融を供与)を通じて、この政策を進めていくとしています。

(鈴木 博)

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