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新興国情報

ドル化経済のカンボジア、海外投資家には大きなメリットも
2011/04/11

プノンペン市内の両替商。ドルだけでなく、ベトナムドンやタイバーツなどの周辺国の通貨も扱っています(2010年11月撮影)

カンボジアでは、ベトナムなどと同様に米ドルが一般に流通しています。市場に流通している通貨の9割以上はドルと言われています。実際生活してみても、カンボジアの通貨である「リエル」を見かけるのは、小額のおつりをもらうときくらいです。また、銀行預金の97%がドル建てとなっています。

国内でドルが流通することにはメリットデメリットがありますが、今のところ、カンボジアにとっても、投資家にとってもドル化経済は有利に働いています。海外投資家にとっては、新興国通貨のような大幅な為替変動リスクがないドルで取引を行えることは大きな利点です。また、カンボジアの最大の輸出先がアメリカなので、アメリカ向け輸出については為替リスクなしに取引が行えることは、大変有利な点です。

カンボジアの通貨リエルの為替レートは、昨年夏には1ドル=4,270リエル程度でしたが、4月5日現在1ドル=3,986リエルまで、約7%のリエル高となっています。ただ、中期的にみると、ここ数年は1ドル=4,000−4,200リエルで安定しています。通貨供給量が限られていることと、中央銀行に28億ドル(約2,400億円)という十分すぎるほどの外貨準備があり、必要に応じて為替介入もしている模様であることから、当面リエルとドルの為替レートは安定的に推移するものとみられています。

投資家にとっては、外国送金に関する規制も重要なポイントとなります。カンボジアでは、外国為替法により「外為取引には一切の制限を加えない」としています。また、投資法により、ロイヤリティーや利益の送金、撤退する際に投資資金送還などを行うための外貨購入、国外への送金も保証されています。また、居住者は自由に外貨を保有することができます。

国内の主要通貨がドルになりますと、金融政策の手段が限られるというデメリットもあります。普通の国のように金利を上下させたり、通貨供給量をコントロールすることは、簡単にはできません。しかし、逆にドルの信用力に支えられて、インフレが急速に進んだり、為替の急落を恐れて外資が一斉に逃げ出したりするような可能性は低くなっています。2008年に物価上昇率が高くなった際に、中央銀行は、外貨預金も含めた預金準備率の引き上げ(8%から16%へ)、銀行の不動産融資規制(総資産の15%を上限)などの金融政策を実施し効果を上げました。

なお、カンボジアの銀行でのドル建て預金の金利は、1年もので5%−6%と大変魅力的です。カントリーリスク、銀行リスクもゼロとは言えませんが、最近では海外から預金される方の数も増えているようです。

(鈴木 博)

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