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新興国情報

ベトナムの知られざる電気事情、ATM利用も命懸け?
2011/05/10

ベトナムの街中では細い電線が無数につながれている電柱をみかける

私が初めてベトナムに行ったのは2007年の終わり。知人のツテでベトナム企業を訪問させてもらいました。もうすぐ上場する建築会社を訪問したのですが、本社は砂ぼこりが舞うような郊外にある3階建ての小さなビルでした。「上場を控えた企業でさえこんな状態なのか」と思ったのを覚えています。

席について話を聞いていると、急に電気が消えクーラーも止まってしまいました。停電です。人生初の停電で落ち着きを欠く私に反し、ベトナム人スタッフはおもむろに立ち上がり、ブラインドを上げて室内に明かりを入れました。そして何事もなかったかのように話を続けたのです。彼らにとって停電はよくある話で、驚くことではないそうです(パソコンなどの電化製品は大丈夫なのか気になりますが…)。

ホーチミンに住む知人は「住宅地の方は朝9時から夕方5時まで停電なんてこともありますよ」と笑っていました。日中40度近くまで気温が上がる時期に長時間停電していたら冷蔵庫のものはすべて破棄しなければならないでしょうし、熱中症で倒れる人が続出しそうです。日本で生活する私には受け入れ難い状態です。

観光客の多いハノイやホーチミンの中心部にいると気づきませんが(優先的に送電されるため停電しない)、ベトナムは極度の電気不足です。年々厳しさを増していると聞いています。

なぜこのような状況が続いているのでしょうか? 発展に伴って電気の使用量が増加しているのはもちろんですが、電力会社の経営が厳しいというのも大きな問題です。

電力会社は初期の設備投資のお金の多くを外貨建て(米ドル、日本円、韓国ウォンなど)で借り入れています。そのためドン安で多額の為替差損が発生してしまいました。

また石炭などの燃料価格が高騰しているにも関わらず、政府に電気の販売価格が決められていることで販売価格に転嫁できないことも業績悪化に拍車をかけています。3月から電気販売価格が15%上がったものの、要求の18%には届かず、なお厳しい状態が続いていました。しかし6月1日から3カ月おきに電気の販売価格を見直せるコスト・スライド制の導入が決定したため、今後少しずつ電気販売価格が上昇し、電力会社の業績は改善していくものと思われます(裏を返せば、インフレになるということですが…)。

ベトナムの街中を歩いていていつも思うのですが、電柱に細い電線が無数につながれていて電気効率はとても悪いです。使われていない電線も多いのではないかと思っています。また勝手に電線を自宅につなぐ電気泥棒もいるそうで電力会社が大変なのはうなずけます。

そしてとても気になるのが電線が切れて垂れ下がっている光景です。その中に電気が通っているものもあり、感電死することがあるそうです。特に雨の日にバイクで走っているときは要注意だとか。他にも銀行のATMで感電死した人もいるそうで、キャッシュカードは持たない方がよいと言われました。お金を下ろそうとして死んでしまうなんて考えられませんね…。

まだまだ色んなものが未整備だということがよく分かります。そんな未整備な分だけ、伸びシロがあるのだと思います。これからの発展が楽しみです。

(大鳥 洋子)

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