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新興国情報

カンボジア、アキレス腱の「電力事情」
2011/05/16

自家発電設備を保有するプノンペン経済特区のエントランス。日本企業の進出が目白押しです

投資家が心配するインフラのうち、道路や港湾などのロジスティクス関係は復興段階が終わり、一息ついたところですが、電力はカンボジアのウィークポイントとなっています。

カンボジアの電力部門は、世界銀行の画一的な指導もあって、アンバンドリング(発電事業と送電・配電事業などを分離すること)が進められ、国営電力公社は送電と配電を担当し、発電は民間企業によるIPP(独立電力事業者)が主に担当しています。

カンボジアではまだ電力需要規模が小さく、2009年でも約300MWしかありません。また、全国を連携する送電線網もなく、プノンペンとその他の都市はまだ結ばれていません。このため、発電所・発電機の規模も小さく、5MW−15MWといった小型のディーゼル発電が主力となっています。この結果として、電力販売価格は、18.7セント/kwhとアジア諸国の中では突出して高くなっています(日本14.55セント、タイ8.91セント、ベトナム5.26セント)。

また、電化率(全世帯の何割に電気が供給されているか)もカンボジアは20.1%で、ラオス(54.0%)、バングラデシュ(44.4%)、ネパール(32.4%)などの貧困国の中でも際立って低いままとなっています。

また、安定供給についても、問題がある状況で、プノンペンでも停電が起きています。そこで、プノンペン経済特区のように自家発電所・発電機を設置しているところも多くなっています。

この状況に根本的に対応するには、大型(500MW以上)の発電所を建設して、一気に電力料金の引き下げと安定供給を図るべきですが、当面その計画はなく、中規模の水力発電所、石炭火力発電所を民間で建設してもらうことと、隣国のタイとベトナムから電力を購入(輸入)することで対応することとなっています。

水力発電所については、中国と韓国の企業が積極的です。まもなく中国によるカムチャイ水力発電所(193MW)が完成する見込みです。石炭火力については、シアヌークビルにマレーシア企業が建設する計画となっていますが、計画は延び延びとなっています。

電力の輸入については、日本やドイツ、アジア開発銀行の支援を受けてベトナムからプノンペンとシアヌークビルへの高圧送電線が建設されています。また、タイ側からは、シェムリアップとバッタンバンまで送電線が延びています。2010年は総需要の40%程度が輸入で賄われました。

なお、小規模水力、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーについては、各国の支援もあり小規模なものから試験的に開始されつつあります。今後、送電線が繋がっていない地方などで活用が期待されます。

(鈴木 博)

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