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新興国情報

売り込まれるベトナム株――VN指数は年初来安値、HNX指数は最安値を更新
2011/05/24

ベトナム株が急落しています。5月20日時点でホーチミン市場のインデックスであるVN指数は7日続落し(累計10.4%)、年初来安値を更新しました。またハノイ市場のインデックスであるHNX指数は9日続落し(累計7.6%)、2年3カ月ぶりに指数の算出開始以降の最安値を更新しています(その後もベトナム株式は下げ止まらず、24日にVN指数は年初来安値、HNX指数は最安値を更新)。

HNX指数の推移(週足)

HNX指数の推移(週足)

高インフレとそれを抑制するための金融引き締めを受けて、企業業績の低迷や資金繰りの悪化が目立ち始め、4月頃から中小型銘柄は年初来安値を更新する銘柄が増えてきました。一方、ホーチミン市場に上場しているマサングループ(MSN)、ビンコム(VIC)、ビナミルク(VNM)などの大型銘柄の株価は好調。全体が下落基調でも指数への寄与度が高い銘柄が上昇していたため、VN指数の下値は堅く、450ポイントのフシ目を割ることはほとんどありませんでした。しかし値動きがよかった大型銘柄が利益確定売りで下落に転じるとVN指数も反落。5月20日には年初来安値の432.24ポイント(ザラ場)を付けました。7日続落した背景にはマージン取引(日本の信用取引に相当)の解消売りも関係しています。堅調だった大型株をマージン取引で購入した個人が多くいると思われます。それらの銘柄が大きく下落し始めたためにロスカットが増加し、下げが加速したのではないかと考えています。

経済環境は非常に不安定です。5月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同期比プラス19.78%とさらに加速しました(4月のCPIは同プラス17.51%)。今後の懸念材料としては電気料金の値上げです。現在ベトナム石炭鉱物グループ(ビナコミン)が電力業界向けの石炭を値上げすることを検討しており、これが実施されれば電気料金の値上げは避けられないと思われます。

また金融引き締めも継続しています。4月29日に再割引金利(リファイナンスレート)が13%から14%へ、公定歩合(ディスカウントレート)が12%から13%に引き上げられました。また、リバースレポ金利も5月4日に13%から14%へ、17日に14%から15%へ引き上げられ、資金繰りの厳しい企業が増加しています。特に証券や不動産の非生産セクターはさらなる財務の悪化が予想されています。銀行が非生産セクターへの貸付割合を6月末までに22%、12月末までに16%以下に減少させる方針のためです。貸付割合を減少させるため、貸し出し金利の上昇や貸しはがしが起こることは想像に難くありません。資金力のない小さな企業は厳しい経営を強いられるでしょう。また大手銀行と比較すると地方銀行や資本金の小さい銀行は不動産関連の企業に貸し付けているケースが多く、貸出金の焦げ付きが急増する恐れがあります。

最安値を更新したハノイ市場はホーチミン市場よりも時価総額が小さい銘柄、証券や建設・不動産の銘柄が多いのが特徴です。そのため金融引き締めの影響をホーチミン市場よりも多く受けています。

市場環境はまだまだ悪いですが、ハノイ市場・ホーチミン市場ともに購入しやすい水準まで下落していると思います。

(大鳥 洋子)

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