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新興国情報

ベトナム株式、大暴落した2008年と現状を比較
2011/05/31

ベトナム株式(VN指数)の25日までの10日続落は、2007年10月から2009年2月にかけて起こった暴落を彷彿とさせます。当時は、正確にはVN指数が2007年10月の高値1,111ポイントから2009年2月の安値235ポイントまで下がり、約79%の大暴落となりました。10分の1まで売られる個別銘柄も散見されるなどひどい状況でした。

当時、なぜそれほどにも売られてしまったのか?
・2006年からベトナム株ブームで株価が急騰し、割高になっていたこと
・上場企業の多くが有償増資を実施し、市場から資金を吸い上げてしまったこと
・サブプライム問題で世界の株価が下落し、その影響を受けたこと

などの原因が挙げられます。またマージン取引(日本の信用取引に相当)の解消売りも売りを加速させました。ベトナムのマージン取引は空売りができません。そのためレバレッジのかかったマネーは買いにしか回らず、ある一定水準まで株価が下がるとロスカットが急増し、下げが下げを呼ぶこととなります。他の市場と比較してベトナムの下落が大きいのはこのような事情が関係しているようです。マージン取引に関しては2008年の暴落をきっかけに規制が強化されるようになり、リスクは軽減されたそうです(証券会社がその規制を守っているかは分かりませんが…)。

では今回の急落と2008年の暴落を比較してみたいと思います。2011年始め頃に多くの有償増資が見られましたが、2010年、2011年は狭いレンジでの値動きだったため、割高感はありません。世界情勢はギリシャ危機が不安材料ですが、今のところ世界株安というレベルではありません。マージン取引については、現地メディアが「マージン取引が売りを加速さている」と報じていました。しかし、規制が強化されたことや(急激な上昇局面でないため)買い残がそれほど多くないと予想されることから2008年ほどではないと思われます。類似点は多いですが、今回の方が比較的問題が小さいように思われます。

また、もう1つの類似点は消費者物価指数(CPI)です。今年5月のCPI上昇率は4月の前年同期比17.51%を上回り、19.78%と高水準に達しています(前月比では2.21%)。政府統計局は「今年のCPIは4月にピークを迎え、5月以降は減速する」との見解を示していました。また4月下旬に財務省傘下の価格統制局が「5月のCPI上昇率は前月比で1.8〜2.0%になる」との見通しを明らかにし、5月上旬には商工省が「前月比で1.2〜1.3%にとどまる」と予想していました。しかしフタを開けてみれば、前月比で2.21%と予想を上回っており、インフレのコントロールができない状態に陥っているように思います。2008年も高インフレに苦しめられた年でした。

みなさんもご存知だとは思いますが、2007年の終わり頃からアメリカでサブプライム問題が取り沙汰されるようになったことで世界の株価が下落し、マネーの一部がコモディティ市場へと流れていきました。マーケットの小さいコモディティ市場では2008年7月11日に原油が史上最高値の147ドルを付けるなど、あらゆる商品が暴騰していきました。

ベトナムは食糧・食料品・エネルギーがCPIの50%強を占めているため、コモディティの上昇がインフレにつながりやすい国です。そのため、2008年8月にはCPI上昇率が前年同期比で28.3%というとんでもない数字を叩き出しています。2008から2011年のCPI推移のグラフを見ると、2011年の上昇率は2008年よりもおよそ5%低いものの、似たような動きをしているのが分かります。

2008年から2011年:CPI上昇率の推移

2008年から2011年:CPI上昇率の推移

CPIの上昇率と株価が完全に反比例しているとは言い切れませんが、経済にも株価にも大きな影響があることは事実です。今後のベトナム株が2008年のような暴落に突入してしまうかを占ううえで重要な指標の1つになると考えています。これかも注視していきたいと思います。

※5月CPIは前年同期比では17.51から19.78%に上昇していますが、前月比では3.32から2.21%に減速しています。

(大鳥 洋子)

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