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新興国情報

スリランカ、ベトナムなど新興国で多い「ライツ・イシュー」を用いた資金調達
2011/06/03

スリランカの銀行であるセイラン銀行の株主に対するライツ・イシューの案内

今回は新興国株式市場で多くみられる株式増資の1つ「ライツ・イシュー(rights issue)」について触れる。

ライツ・イシューとは、新たに株式を発行する企業が、既存の株主に対して時価よりも低い価格で株式を購入できる権利を無償で割り当て、その行使を受けて新株を発行するという増資方法である。

日本においてライツ・イシューの実施例はほとんどないとされるが、ヨーロッパをはじめアジアの新興国株式市場においてはポピュラーな株式増資方法。

一般的な増資の場合、既存株主保有分の株式価値の希薄化が問題となる。しかし、ライツ・イシューに関しては、既存株主が以下2つの方法のいずれかを選択することでこうした問題を回避できる。1つは、時価よりも低い権利行使価格で新株を取得して持株比率を維持する方法。もう1つは、割り当てられた新株予約権を市場で売却することにより、理論上は権利落ちした保有株式の価格下落分相当額を取り戻す方法だ。こうすることにより、公募増資や第三者割当増資などと比べて、既存株主が損をする可能性が低くなる仕組みとなっている。

よく誤解されるのが時価よりも低い価格で株式を取得できるというところで、利益を得られるという点だ。よく考えればわかることだが、ライツ・イシューが行われれば発行数量・価格に伴って株価は調整される。自分自身新興国への株式投資をしていて最初誤解していたこともあったので気を付けてもらいたい。

新興国の株式投資において日本の証券会社を使って株式を保有している場合、このライツ・イシューについては基本的に法律上の問題で新株の購入はできないため、その権利を市場で売却することになり、実際に売却できた場合はそのお金が自分の口座へと振り込まれる。損失が生じないように情報に気を配る必要がある。

日本の証券会社を利用した場合の注意点について触れたが、現地の証券会社を利用した場合にも注意点はある。たとえば私の場合、直近でベトナムとスリランカの企業からライツ・イシューの連絡があった。ベトナムの場合は現地の証券会社から連絡があり、「新株の購入に応じるか、権利を売却するかの回答を電子メールで連絡して欲しい」とのことだったので新株の購入に応じると回答した。その場合は保有する現地の銀行口座から新株を購入するための資金が差し引かれることになる。対してスリランカの場合は直接自宅に申込用紙が送られてくる(写真はスリランカの銀行であるセイラン銀行の株主に対するライツ・イシューの案内)。この申込用紙に必要事項を記入して郵便局のEMS(国際郵便)などを使って送り返さなければならない。個人投資家レベルで扱うのは非常に困難だ。

新興国への投資に限らず気軽に分散投資できるツールとしてインデックスファンドやETF(上場投資信託)が広まっているが、これらのツールを活用すると新興国への株式投資においては今回紹介したライツ・イシューのような事態に対する事務面での煩雑さから解放されるというメリットがあるということを知ってもらえればと思う。

(しむしむ)

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