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新興国情報

「戦略的農業」目指すカンボジア、食糧安全保障めぐり中東・韓国などが投資検討
2011/06/13

カンボジアは「農業国」というと遅れた国のイメージになってしまいますが、最近は「戦略的農業」をキーワードに新たなステージを目指しています。

カンボジアは大変恵まれた国で、農業の潜在成長力は大きいと言われています。まずは気候ですが、雨が豊富な一方で台風が来ません。土地は、ほぼ平坦で、見渡す限り地平線まで田んぼが広がっている景色もあちこちで見られます。山岳地域も「丘陵」と言ったほうが分かりやすく、ゴムやカシューナッツに適した土壌でもあります。また、まだまだ未開発の土地も残っています。カンボジアではまだ人口の7割以上が農村部に暮らしているため、農業向けの人的資源にも恵まれています。

カンボジアの農業の主要作物は、まず米です。自給を達成しており、200万トンほどが輸出に回っています。また、ゴム、カシューナッツ、油ヤシ、フルーツ類などの商業的作物も豊富です。

こうした中で、カンボジア政府も農業を重視して開発に努めています。さらに、中東や韓国などの国々は、食糧安全保障の観点も含めて、カンボジアで大々的な農業投資を開始しようとしているとの情報もあります。

カンボジア農業の課題は、低い生産性と、低い付加価値です。例えば、米については、灌漑(かんがい)施設が整っていないため、平均2.7トン/ヘクタールしか取れません。また、お隣のベトナムでは3期作、4期作もやっていますが、カンボジアでは2期作をやっているところもまだ少なく、ほとんどが天水に頼った1期作です。

また、せっかく実ったお米も、籾(もみ)の状態でタイやベトナムの仲買人に安い値段で買われて持っていかれてしまい、タイやベトナムで精米されています。ゴムやカシューナッツも加工する工場が不十分で、ベトナムなどに持っていかれて、そこで加工されているのが実情です。

低い生産性と付加価値が課題と申し上げましたが、これは逆に言うと小さな投資で大きな利益が期待できるとも言えます。例えば、米では、ちょっとした灌漑水路整備で水が来れば、収量も4トン/ヘクタールになるうえに2期作も可能となり、年間8トンも夢ではありません。灌漑水路整備への投資で生産量が2倍、3倍(2.5トンから8トンへ)になるというわけです。また、日本が得意な精米技術で輸出用の米の精米ができれば、籾で売るよりも相当に高い値段で売りさばくことができるようになります。カシューナッツやゴムの加工工場も有望です。さらに、カンボジアに適した野菜などの栽培、加工も既に日本企業が取り組み始めています。

この課題に取り組むため、カンボジア政府は、日本などの支援を得て、灌漑施設の拡充や農民への指導に取り組んでいます。また、アグロインダストリー(精米所や農産物加工、食品加工など)への直接投資を誘致すべく努力を重ねています。

(鈴木 博)

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