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新興国情報

中・越・比3カ国でエスカレートする「スプラトリー(南沙)諸島問題」とは?(前編)
2011/06/21

南シナ海でベトナムと中国、フィリピンが何やらもめているようです。南シナ海は石油やガスが埋蔵されおり、中国、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、台湾が互いに領有権を主張しています。日本でいえば、まさに尖閣諸島問題です。それに6カ国が権利を主張しているのですから、大変複雑な問題となっています。

今回はその南シナ海の一部であるスプラトリー(南沙)諸島でベトナムと中国が衝突しました。ことの始まりは今年5月末にベトナム政府が「国営石油会社ペトロベトナムの石油探査船のケーブルが中国の監視船に切断された」と発表したことです。妨害行為が起きたとされるのは、ベトナム中南部沖から約120キロ、中国の海南島から南に約600キロ離れた地点でした。

この問題にフィリピンが参入してきます。フィリピン政府も3月に石油探査船が中国船から妨害を受けたと発表したのです。フィリピンはスプラトリー諸島に近いこともあり、今回の問題を受けて、中国を批判した格好です。当然、中国はベトナムとフィリピンに反発。「スプラトリー諸島の主権を中国が有していることは明らかな事実」と主張したうえで、「ベトナムは中国が管轄する海域で資源調査を行い、中国の権益と管轄権を損ね、両国の南シナ海問題における合意に背いた」と反論しました。また中国側は「同海域の平和と安定を望んでいる」とも発言しています。

さらにアメリカがベトナム、フィリピンをサポートし、中国の同海域への進出を阻止しようとしています。武力ではベトナムとフィリピンが束になっても中国に敵わないのは明らかです。その面ではアメリカの支援は有益かもしれませんが、中国から見れば火に油を注ぐようなものです。

そのような状況のなか、6月1日にスプラトリー諸島周辺でベトナム漁船が中国艦船3隻から威嚇射撃を受け(ベトナム政府が発表)、5日には南シナ海における領有問題で中国に抗議するデモが発生しました。社会主義国であるベトナムでデモが発生するのは極めて珍しく、政府が公認しているとみられています。

このように元々存在していた領土問題がスプラトリー諸島での衝突をきっかけに浮上。事態は悪化の一途を辿っています。次回、各国の思惑と今後の展開を考えていきたいと思います。

非生産セクターへの貸付制限の追記

6月7日の記事で、「ベトナム中央銀行の総裁が6月末期限の非生産セクターへの貸付制限の延期を検討している」と書きました。結局、中銀総裁が「各銀行は非製造業向けの融資残高を6月30日までに貸付金全体の22%以下にしなければならない」とした規定に関し、期限を延長しないことを明らかにしました。6月上旬の時点で融資残高が22%を超えている銀行は20以上あります(うち2行は50%以上)。また、同総裁は「規定に違反した銀行は厳罰に処す」と表明しています。目標を達成していない銀行は厳しい展開を強いられそうですが、中銀の強固な姿勢は評価するべきだと思います。

(大鳥 洋子)

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