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新興国情報

ベトナム中銀、金利引き下げは時期尚早か
2011/07/12

6月24日にベトナムの6月の消費者物価指数(CPI)が発表されました。前年同月比では20.82%上昇と加速したものの(5月は19.78%の上昇)、前月比では5月の2.21%上昇を大幅に下回り、1.09%上昇と2カ月連続で鈍化しています。

これを受けて、中央銀行は7月4日に主要政策金利の1つであるリバースレポ金利を15%から14%に引き下げました。なお、他の政策金利である再割引金利(リファイナンスレート)、公定歩合(ディスカウントレート)、基準金利はそれぞれ14%、13%、9%に据え置いています。

リバースレポ金利の引き下げで銀行関係者の間では「資金流動性の改善で、預金金利と貸出金利の高止まり状態が徐々に緩和するだろう」との期待が強まりました。中央銀行は預金金利の上限を14%に設定しているのですが、銀行窓口ではボーナス金利などで金利が上乗せされ、上限を大幅に上回る18.0〜19.5%に設定されているのが実情です。また、預金金利に連動するかたちで、貸出金利も22%前後と高水準で推移しています。

高金利で資金調達難にあえぐ企業が多くあり、リバースレポ金利の引き下げによるメリットは十分にあります。しかし、前年同月比ではCPIが2010年9月から10カ月連続で上昇し、20%を超える上昇となっています。そのような状況で(主要政策金利のなかでも影響が小さいと言えども)リバースレポ金利の引き下げは時期尚早感が否めません。基本的に政策金利というものは短期で上げ下げするものではなく、インフレ抑制や景気を冷やしたいときには数回に渡り金利を引き上げさせ、落ち着いたらしばらくは変更せず、経済が安定したら引き下げるというのが一般的です。

7日に中国が貸出基準金利と預金基準金利を0.25%ずつ引き上げたように、世界的に利上げ傾向が続いていますし、ベトナムでも前年同月比ベースでCPIが上昇しています。そのようななかで、金利を引き下げるというのは早すぎるように思います。金利上昇でインフレが再燃すれば、今までの金融引き締めが水の泡となってしまいます。

また、政府は先日「2012年も金融引き締めを継続する」と発表したばかりです。それにもかかわらず、金利引き下げをするというのもよくないと思います。政府の方向性がまったく見えません。政府の一貫した方針が明確に示されないと投資家は不信感を強めることになりそうです。

(大鳥 洋子)

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