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新興国情報

タイ新政権とカンボジアが関係改善へ
2011/08/22

1980年代の内戦時代、タイはカンボジア政府(ヘンサムリン政権)を承認していませんでした。しかし、1988年7月に成立したチャーチャーイ内閣のチャヴァリット副首相と若きピサンロークトリオ(副首相の下にいた若い3人の官僚)は、カンボジア和平に日本と協力しつつ取り組み、フン・セン首相もこのときのことを評価しています。2001年にチャワリット・ヨンチャイユット元首相の協力を得て成立したタクシン政権と、フン・セン首相は個人的関係も含めて両国間の関係を大幅に改善しました。

しかし、タクシン首相失脚後、両国間の関係は、プレアビヒア問題を契機に一気に悪化しました。タクシン首相を失脚させたクーデター後、タイの政治は混乱し、2008年秋の空港占拠を経て反タクシン系のアピシット政権となります。反タクシン系勢力は、親タクシン派攻撃の理由の一つとして、プレアビヒア遺跡に関する「譲歩」を取り上げました。その政治的プレッシャーのなか、タイ軍は2008年10月3日武力をもって遺跡近辺に侵攻し、紛争を起こしました。その後、2009年4月、2010年1月・4月と散発的に銃撃戦などもありました。本年2月4日以降、タイは本格的な武力侵攻を行い、これに対してカンボジアは、国連安全保障理事会やアセアン議長国のインドネシアによる調停を求めてきました。7月には国際司法裁判所の判決も出されました。

タイでは、7月3日にタクシン派が総選挙で勝利を収め、8月8日にタクシン元首相の妹であるインラック氏が首相となり、8月10日に閣僚を指名し新政権が発足しました。国防大臣には、旧タクシン政権で国防副大臣を務めたユタサック氏が起用され、カンボジアとの関係の改善への期待が高まっています。ユタサック大臣は、国際司法裁判所の判決に従って、プレアビヒア寺院周辺にとどまっているタイ軍の暫定撤退を検討したいと表明しています。

インラック首相は、8月9日朝には、ユー・オイ駐タイ・カンボジア大使と早速会談しています。首相就任後初めて会う外国要人として、カンボジア大使を選んだことで、カンボジアへの関係改善のサインを送ったものとみられています。カンボジア大使からは、首相就任を祝うカンボジアのフン・セン首相とホー・ナムホン副首相兼外相からの書簡を手渡されました。インラック首相もカンボジア大使も女性であり、会談は和やかな雰囲気に包まれたとのことです。

インラック首相とフン・セン首相の首脳会談も話題に上っており、カンボジアとタイの関係が改善し、経済関係もさらに密接となることが期待されています。

(鈴木 博)

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