文字サイズの変更

  • 小
  • 中
  • 大
新興国情報

徹底分析!ベトナムの貿易収支―赤字改善のカギ握る「石油精製所」
2011/09/06

ベトナムの大きな懸念材料の1つである貿易収支を見ていきたいと思います。2009年が128億5,300万ドル(約9,800億円)の赤字、2010年が126億900万ドルの赤字と赤字幅は縮小していますが、依然として高い水準で推移しています。

品目別の輸出

  2009年
(100万ドル)
2010年
(100万ドル)
2010年
構成比
増減
縫製品 9,066 11,210 15.5% 23.6%
履物 4,067 5,122 6.9% 18.0%
水産物 4,251 5,016 7.1% 25.9%
原油 6,195 4,958 6.9% -20.0%
コンピュータ電子製品・部品 2,763 3,590 5.0% 29.9%
合計(その他を含む) 57,096 72,192 100% 26.4%

輸出を品目別で見てみると、1位の縫製品、2位の履物、3位の水産物と低付加価値のものばかりです。特に縫製品と履物は電気とミシンさえあれば、どこでも生産できます。昔は中国で生産していたものが人件費の安いベトナムに移り、これからはより人件費の安いカンボジアやラオス、ミャンマーへと生産地が移り変わっていくでしょう。そうなる前に、新しい産業を育てていく必要があります。

当然、ベトナム政府もそれは分かっていて、5位のコンピュータ電子製品・部品が前年比29.9%増の35億9,000万ドル、(表にはないですが)機械設備・部品が同48.4%増の30億5,700万ドルとより高付加価値の製品が伸びています。

また、世界の需要拡大から水産物やゴム、コーヒーなどの生産にも力を入れています。3位の水産物の内訳はチャ魚・バサ魚という淡水魚とエビの養殖がほとんどです。チャ魚・バサ魚はメコン川などのメコンデルタが主流ですし、エビも東南アジアに集中しています。つまり今輸出している水産物は地域への依存性が高く、人件費が安いからという理由だけで他国へ生産を移動させるのは難しいのです。同じようにゴムやコーヒーも生産地域が限定されています。

輸出4位の原油が前年比で20%も減少しているのは国内初の石油精製所であるズンクアット精製所が稼働し(2009年2月に生産開始)、国内で石油を一部精製できるようになったからです。今までは自国で石油を精製する技術がなかったため、原油を輸出して石油などの精製品を輸入するという非効率的なことをしていました。国内に精製所を作ることで無駄な貿易赤字を減少させられる点はポジティブです。現段階では自国の消費量をまかないきれていませんが、2014年にギソン精製所、2015年にロンソン精製所を完成させ、国内需要すべてを自国でまかなう計画です。そうなれば、貿易赤字が大きく改善すると期待されています。実際に輸入の石油製品が前年比2.8%減の60億7,800万ドルと2年連続で減少しました。

統計局の発表によると、2011年1−8月の輸出が前年同期比33.7%増の608億ドル、輸入が同25.4%増の670億2,000ドルで貿易赤字は62億2,000万ドルとなっています。貿易赤字はしばらく続きそうですが、輸出が堅調に伸びている点は評価できると思います。

(大鳥 洋子)

大鳥 洋子サイトへのリンク

バックナンバー

閉じる

ページの先頭へ戻る