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新興国情報

チェコ自動車生産、2012−2013年以降は頭打ちか=熟練労働者不足などで
2011/02/23

チェコの自動車生産は、昨年は中国など新興国経済が急成長したことや欧州各国の新車買い替え支援制度で自動車需要が急増し在庫投資が増えたことから、前年比9.5%増の107万2,263台と、初めて100万の大台を突破し、過去最高となった。

また、米会計大手プライスウォーターハウスクーパース(PWC)が最近実施した調査によると、チェコの2011年の自動車生産台数は、同国に生産拠点を構えている韓国自動車大手の現代自動車が生産台数を30万台に約5割も増産する計画のため、前年比4%増の111万5,000台となり、2102年も同8%増の120万台になると予想している。

供給能力の引き上げ努力怠った国内部品メーカー

しかし、PWCのチェコ現地法人の自動車部門責任者、ジョージ・ゾウハル氏は、2013年以降については、原材料価格の上昇や熟練労働者不足、欧州連合(EU)の排出ガス規制の強化などで、チェコの自動車生産は頭打ちになると慎重な見方だ。

他方、チェコ自動車工業会のマルチン・ヤーン会長も自動車業界が国内投資を拡大しなければ、PWCが予想している2012年の120万台の達成すらも難しいと指摘する。

同会長は国内の部品メーカーは2009年の不況以降、景気が回復してきても部品供給能力を引き上げる努力を怠っているという。このため、今後、国内である特定の部品が供給不足に陥る可能性があり、また、教育改革や職業訓練校の整備の遅れなどが熟練労働者不足を招き、今後の自動車生産拡大のネックになるとみている。

実際、チェコでないが、ロシアではすでにこうした部品供給の問題が表面化している。米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と露自動車大手アフトバスのロシア合弁会社GMアフトバスは一部の部品供給がショートしたため、2月10日から14日まで、「シボレー・ニーバ」の生産停止を余儀なくされるという異常事態が起きている。結局、その後、部品調達のメドがついたため、15日から通常通りの週5日(8時間2交代制)の操業体制に復帰している。

海外に生産シフトし始める部品メーカーも

チェコでは、現代自動車は2009年3月から11億ユーロ(約1,250億円)を投じたノショビツェ工場が稼動を開始しているが、2010年の年産20万台から2011年には30万台に増産する計画を進めている。従業員数も2010年だけで2,845人、さらに2011年には675人を追加採用する。その結果、従業員規模は合計で実に3,520人にも達する。

しかも、同社では、裾野の部品供給業界でも4,000人の新規雇用の機会が生じるとしていることからも分かるように、自動車生産を拡大するには多くの熟練労働者が必要になる。今後、チェコの自動車業界にとって熟練労働者不足の解決が重要課題になってくるのだ。

しかし、こうした国内の自動車業界を取り巻く問題から、チェコ自動車最大手で独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下のシュコダ・オートは、すでにロシアや中国、ウクライナ、インド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カザフスタンに生産を移管し始めており、それに伴って部品メーカーも海外に生産シフトし始めている状況だ。

チェコ部品大手ブラノ・グループ(Brano Group)は南アフリカの新工場でまもなく生産を開始する予定。また、ブラジルや米国、中国に部品を供給しているアウトスヴィーチュキ(Autosvicky)もロシアの数カ所に工場を建設する計画を明らかにしており、チェコの自動車業界も国内生産の限界に直面しつつあるといえそうだ。

(増谷 栄一)

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