文字サイズの変更

  • 小
  • 中
  • 大
新興国情報

露自動車大手ソラーズ、外資系メーカーと相次いで生産提携=市場拡大見込んで
2011/03/16

ロシア自動車2位のソラーズ(Sollers、旧・セヴェルスタル自動車)が外資系の大手自動車メーカーとの生産提携の動きを活発化させている。この背景には、ロシア政府は年間30万台以上の乗用車を生産するメーカーに対し、自動車部品の輸入関税を引き下げる税優遇措置を与えるため、提携によって生産台数を飛躍的に高められることや、今後、ロシアの自動車市場の急成長が見込めるためだ。

米市場調査会社ボストン・コンサルティング・グループが2月中旬に発表した調査結果によると、ロシアの自動車市場は2020年までに年間400万台の乗用車販売が予想され、現在の世界10位の自動車市場から6位に急浮上するとし、また、2018年までに乗用車と軽商業車(6万トン未満)の生産台数でドイツを抜き、欧州最大の自動車市場になると予想している。

このほか、米会計大手プライスウォーターハウスクーパース(PWC)も1月20日に、ロシアの2011年新車販売台数が前年比20%増の210万台になる見通しを明らかにしている。同調査によると、最も楽観的なシナリオでは、同35%増の240万台になるという。

ちなみに、PWCによると、2010年の新車販売台数は同30%増の176万台、金額ベースでは同31%増の337億ドル(約2兆8,000億円)だった。一方、ロシアに進出している外国企業で構成する欧州ビジネス協議会(AEB)の自動車工業委員会が1月中旬に発表した2010年の新車販売台数は前年比30%増の191万台だったが、2011年については、同18%増の224万台、2012年は280万−290万台と、世界的な金融危機が起こる以前の水準に戻ると予想しているほどだ。

ソラーズ、トヨタと事実上の提携=三井物産通じ

AEBのデータによると、ソラーズの2010年の新車(乗用車と軽商業車)販売台数は8万4,000台で、露自動車大手アフトバスの51万7,000台に次いで、ロシア国内メーカーでは2位となっている。

最近では、ソラーズは3月1日に、昨年8月に三井物産と折半出資で設立した合弁会社ソラーズ・ブッサンを通じて、極東のウラジオストックで、トヨタ自動車の4輪駆動オフロード車「プラド」を2012年春から生産することで合意している。

合意では、ソラーズ・ブッサンは、ウラジオストックに新工場を建設し、来春から、トヨタ自動車の技術指導や部品供給を受けながら月産1,000台のペースでプラドを生産する。プラドはロシアでも人気の高い車種で、新工場での生産開始によって、トヨタが地元雇用の拡大に寄与するだけでなく、トヨタ車のイメージアップにもつながるという思惑もあるようだ。

米自動車2位のフォードとも提携

また、これより先、2月21日には、ソラーズは米国の同業大手フォード・モーターとの提携合意を発表している。この合意では、両社は折半出資で合弁会社を設立し、両社のロシア国内の工場を統合して、フォードの乗用車やSUV(スポーツ用多目的車)、商用車などを生産する計画だ。

両社は2015年までに年間30万台を生産する計画で、ソラーズはロシアのタタールスターン共和国の工業都市ナベレジヌイエ・チェルヌイ(Naberezhniye Chelny)に年間20万台の生産が可能な工場を保有する一方で、フォードはサンクトペテルブルクに同12万5,000台の生産工場を保有している。

今回のフォードとの提携が決まる前は、ソラーズは伊自動車大手フィアットと総額33億ドル(約2,740億円)の乗用車生産提携を計画していたが、最近になって断念している。両社は折半出資でロシア国内に合弁会社を設立し、2016年までに年間50万台の乗用車を生産する計画だった。

ソラーズとフィアットの提携が失敗に終わった理由については、両社は、表向きはそれぞれの戦略を追及することで一致したとしか述べていないが、両社が期待していたロシア開発対外経済銀行(VEB)からの21億ユーロ(約2,400億円)の15年ローンの確保に失敗したのがきっかけで、フィアットは単独で年間50万台をロシア国内で生産する方針に転換したようだ。

両社は2010年2月に生産提携で合意した後、VEBに対し、融資の見返りに合弁会社の少数株式を与えることを提案したが、同年12月に協議が不調に終わっている。フィアットのセルジオ・マルキオーネCEO(最高経営責任者)は3月4日に、スイス・ジュネーブの国際自動車ショーで、フィアットは経済特区を含めた立地先を検討中であることを明らかにしており、約10億ユーロ(約1,150億円)の投資を行うとみられている。

(増谷 栄一)

バックナンバー

閉じる

ページの先頭へ戻る