文字サイズの変更

  • 小
  • 中
  • 大
新興国情報

ベラルーシ中銀、ロシアから30億ドル融資確保へ=通貨下落阻止で
2011/04/06

旧ソ連・ベラルーシの国立銀行(中銀)は自国通貨ベラルーシルーブルの急落を阻止するため、外貨準備を使って市場介入を続けてきたが、その外貨準備がいよいよ底をつく見通しをなったことから、ロシア政府から今後20−30日以内に30億ドル(約2,500億円)の緊急融資を受ける方針だ。

当初、ベラルーシは、ロシアやカザフスタンなど旧ソ連邦の6カ国と結成しているユーラシア経済共同体(EAEC)の危機対策基金から20億ドル(約1,700億円)と、ロシア政府から10億ドル(約840億円)の融資を求めていたが、3月31日付のノーボスチ通信(電子版)によると、30億ドルの全額はロシアからの融資になるようだ。

この結果、昨年12月の大統領選後に起きた野党の反政府デモを武力で鎮圧してからEU(欧州連合)との関係が悪化しているアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、今後、ますますロシア寄りになる可能性が出てきたといえる。

また、ベラルーシは3月15日に、米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)から同国のソブリン債がジャンク級の「シングルB」に格下げされたため、国際金融市場での資金調達は事実上困難になったことも、欧州最後の独裁政権といわれるルカシェンコ政権のロシア依存に拍車をかけている。

ベラルーシ中銀によると、金とSDR(特別引き出し権)含む外貨準備高は、自国通貨防衛のための市場介入で、2010年4月の直近ピーク時には60億7,390万ドル(約5,100億円)だったが、同年12月には57億540万ドル(約4,800億円)、さらに、今年3月1日現在では40億2,360万ドル(約3,400億円)と、今年に入ってから30%も減少している。

しかし、中銀では経済の安定化のためには、今年は109億ドル(約9,200億円)相当の外貨準備高が必要だとみている。また、外貨準備高を十分な水準にまで引き上げることがソブリン債の格付けを回復させる出発点になるとも指摘している。

また、ベラルーシルーブルの動向については、中銀のデータによると、ドルやユーロなど主要貿易相手国の通貨に対するベラルーシルーブルの名目実効為替レート(2000年=1)は、2010年1月時点で4.089だったのが、今年1月時点では4.233と、この1年間で3.5%下落し、さらに2月時点では4.334と、昨年1月時点と比べて6%も低下している。

また、最新のデータでも4月1日時点のドルとユーロ、ロシアルーブルの通貨バスケットに対するベラルーシルーブルのレートは1119.78と、昨年12月末時点と比べて6.17%下落している。対ドルでは1.50%下落だが、対ユーロでは8.71%、対ロシアルーブルでも8.47%もそれぞれ下落している。アナリストは仮に同国が変動相場制を導入するようなことになれば、20−30%の通貨切り下げは避けられないとみているだけに、通貨の安定によって輸出産業を強化し、経済を活性化することが急務になっている。

また、中銀は3月初めに、同国では通貨が切り下げられるのではないかという憶測から国民の間で外貨を買う動きが広がり、外貨需要が急激に高まって社会混乱が起きたことへの反省として、通貨の価値を安定させる必要に迫られている。

中銀はすでに、外貨準備の不足に対応するため、金融引き締め(利上げ)や商業銀行への外貨供給を停止することで外貨流出を抑える一方で、3月29日には、国内の外為市場(店頭市場)で行われる銀行と企業との為替取引(外貨通貨の売買)に適用される公定レートに対し、最大で10%低い水準での外貨売買を認める、事実上の通貨切り下げを実施している。中銀ではこれによって、輸出業者は外貨を売りやすくなる一方で、輸入業者は外貨を入手しやすくなるとしている。

また、輸出で稼いだ外貨の70%以上が店頭市場で取引されるようにすることで、国内の企業や銀行は自由に外国通貨を買うことができるようにするとしている。現在、輸出企業は外国から稼いだ交換可能通貨(ハードカレンシー)の50%を強制的に自国通貨に交換することが義務付けられているが、これが70%以上になることで、中銀は店頭市場での外貨の流動性は高まるとみている。

外貨準備を高める対策として、中銀は外国投資家による国内の投資プロジェクトへの投資を促すため、外国通貨の売買に対する規制やベラルーシルーブルの兌換性の制限をこれ以上強化しない方針を決めている。さらには、将来的に外国通貨の売買規制の撤廃とベラルーシルーブルの完全兌換性の実現を図るとしている。

(増谷 栄一)

バックナンバー

閉じる

ページの先頭へ戻る