文字サイズの変更

  • 小
  • 中
  • 大
新興国情報

露国営石油ロスネフチ、進まぬ英BPとの企業連合結成にイラ立ち=BPに最後通牒
2011/04/20

英石油大手BPは今年1月14日に露国営石油開発大手ロスネフチと企業連合を結成し、北極圏・南カラ海の3鉱区(東プリノボゼメルスク(Prinovozemelsk)-1、同2、同3、計12万5000平方キロ)の石油開発を進めるため、相互に株式を交換することで合意して以来、株式交換の最終期限である4月14日までに、両社の戦略提携に反対している露3位の石油大手TNK-BPのロシア側株主AAR(アルファグループとアクセス・インダストリーズ、レノバ)との和解に全力を挙げたが、結局、徒労に終わった。

これに対し、ロスネフチは4月14日に、BPに最後のチャンスとして、両社の企業連合結成のための株式交換の最終期限を5月16日まで1カ月間延長することを認めている。BPは首の皮一枚を残して何とか助かった格好だが、BPはこの間にAARとの和解を是が非でも達成しなければならず、前途は依然として多難だ。

TNK-BPの全株買収提案、不発に終わる

BPは14日の最終期限までAARとギリギリの和解交渉を進めていた。交渉内容はAARが保有するTNK-BPの持ち株50%を買い取るというものだが、関係筋によると、AAR側は持ち株の売却で非現実的な要求を行ったため、結局、BPとロスネフチはこれ以上、買収協議は進められないとして断念している。

ロシア経済紙ヴェードモスチによると、AAR側は売却額として、BPの提示額260億−270億ドル(約2兆1,700億−2兆2,500億円)の約1.5倍の400億ドル(約3兆3,300億円)を要求したほか、BPとロスネフチの株式取得も求めたといわれている。

BP、今後はロンドン高等法院に協議の場を移す構え

BPとロスネフチの株式交換は、両社が相互に株式を持ち合う資本提携の形を取るもので、BPはロスネフチの株式9.5%を取得する一方で、ロスネフチはBPの株式の5%を保有することで合意している。この株式交換の価値は双方向で160億ドル(約1兆3,300億円)に相当する。

しかし、BPのロシア合弁会社TNP-BPを実質的に支配するAARは直ちに、ロンドン高等法院に対し、ロシアとウクライナでの油・ガス田開発はTNP-BPだけが手がけるというBPとの約束違反になるとして、BPに約束の履行と160億ドル相当のロスネフチとの株式交換による資本提携などを差し止めるよう求め、同法院も2月1日に最初の差し止め命令を言い渡している。

この差し止め命令を受けて、BPはスウェーデン国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)にAARとの話し合いの場を移し仲裁裁定を求めていた。しかし、UNCITRALは3月24日、ロンドン高等法院が2月にBPに言い渡したBPとロスネフチの企業連合結成の差し止め命令を継続すべきとの判断を示し、事実上、BP・ロスネフチ連合によるロシア領北極圏の海底油田開発を禁じる裁定を示している。

その後、ロンドン高等法院は4月8日に、2月にBPに言い渡したBPとロスネフチの企業連合結成の差し止め命令を当分の間、延長する裁決を言い渡している。

BP、泥沼にはまり込む可能性

これまでのところ、BPはロスネフチとの株式交換の差し止め命令が今後も継続されるかどうかの問題も含めて、すべての未解決の問題について、ロンドン高等法院から最終裁定の獲得を目指すとしている。

しかし、ロスネフチの前会長のイーゴリ・セーチン副首相(エネルギー担当)は、延長されたBP・ロスネフチ企業連合の結成合意の期限までに、BPがAARとの争いを解決できなければ、BPに対し、企業連合の失敗に対する責任を問う形で、あらゆる制裁措置を取ると警告しており、BPとロスネフチの戦略提携が失敗に終わる公算が出てきた。

一方、BP関係筋によると、BPはロスネフチとの企業連合が失敗に終わった場合にはAARを相手取って、数十億ドル(数千億円)規模の損害賠償請求訴訟を起こすことも視野に入れて検討に入ったという。一方、AAR側も今週、BPを相手取って100億ドル(約8,300億円)の損害賠償請求訴訟を起こす準備を進めており、ロスネフチとの戦略提携によって、米メキシコ湾での原油流出事故から再起を目指しているBPは泥沼にはまり込む可能性が出てきたといえる。

(増谷 栄一)

バックナンバー

閉じる

ページの先頭へ戻る