文字サイズの変更

  • 小
  • 中
  • 大
新興国情報

ハンガリー・オルバン政権、新憲法採択で事実上の政府権限強化
2011/04/27

ハンガリーのビクトル・オルバン政権は、4月18日に議会がハンガリー市民連盟(フィデス)とキリスト教民主国民党(KDNP)連立与党による圧倒的な賛成多数(賛成262票、反対44票)で新憲法を採択したことで、事実上、強大な政府権限を手中に収めた。

新憲法の採択をめぐっては、最大野党の社会党などは権力の一極集中を排除し、民主主義を守るというチェック・アンド・バランスの機能が失われるとして強く非難し、議会投票をボイコットするなど対決姿勢を強めていたが、与党のフィデスは議会の全議席の3分の2を占めていることから、新憲法の採択は不可避の情勢だった。

新憲法は1989−1990年に改定された現憲法に代わるもので、大半が共産主義時代の憲法の内容を復活させており、新憲法は4月末までに大統領の署名を経て発効する見通しとなっている。

新憲法では、憲法裁判所の判事の定数が増員され、任期も延長されるが、実質的に政府の司法権に対する干渉が強化される。また、憲法裁判所は政府の予算や税制度に関する法律を無効にすることができる権限を持っているが、新憲法では政府が公的債務残高を対GDP(国内総生産)比50%以下にまで大幅に引き下げることができた場合には、その権限は行使できなくなるなど新たな制約が設けられており、事実上、政府の権限を強化している。

この点について、欧州のアナリストは、公的債務残高が現在の対GDP比で約80%から50%に引き下げることを憲法に盛り込んだという点では評価できるとしているが、税制などを改正するには議会の全議席の3分の2以上の賛成が必要になるため、将来の政権が講じることができる政策手段が狭められることになるとして懸念を示している。

また、新憲法では財政制度審議会(中銀総裁と会計検査院長、大統領が任命するエコノミストの3人で構成)は予算に対する拒否権を行使できるほか、大統領は毎年3月末までに新年度予算が議会を通過しない場合には議会を解散できるとしている。

これは、財政制度審議会と大統領はいずれも与党フィデスに忠誠を尽くしている存在なので、仮に次の総選挙でフィデスが大敗しても、引き続き、同党は新政府を打倒する権力を保持できることになるという見方もあるようだ。

(増谷 栄一)

バックナンバー

閉じる

ページの先頭へ戻る