文字サイズの変更

  • 小
  • 中
  • 大
新興国情報

ロシア、資本流出に歯止めかからず=大統領選控える中、質への逃避で(後編)
2011/05/18

大統領、国営企業17社の政府幹部の役員辞任を指示

国の関与の緩和については、すでにメドベージェフ大統領が動き出している。同大統領は4月2日に、国営大手企業の役員を兼務している政府幹部の辞任を柱としたロシアの投資環境の改善策を発表している。その中で、7月1日までに政府幹部が役員を辞任すべき国営企業として17社のリストを明らかにしている。

特に、ウラジーミル・プーチン首相の側近として知られるイーゴリ・セーチン副首相(エネルギー担当)に対しても、露国営石油開発大手ロスネフチの会長職を辞任するよう求めており、実際、セーチン氏は4月11日には、ロスネフチの会長職を辞任している。セーチン氏の辞任をめぐっては、来年の大統領選挙を控え、メドベージェフ大統領とプーチン首相の亀裂が一段と拡大する可能性が出てきたとの見方が出ている。

余談だが、このところ、メドベージェフ大統領は国連決議に基づいた北アフリカのリビア空爆に対するプーチン首相の「中世の十字軍」発言を厳しく批判したり、プーチン首相の政敵で露大手石油会社ユコス前社長のミハイル・ホドルコフスキー被告の刑期が延長されたことから、捜査や裁判の調査を命じたり、両トップの対立がエスカレートしているとの国民の憶測を一段と強める結果になっている。

17社は、ロスネフチのほか、金融大手VTB銀行(役員兼務はアレクセイ・クドリン副首相兼財務相)やロシアダイヤモンド生産最大手アルロサ(同財務相)、ロシア農業銀行(ビクトル・ズプコフ第1副首相)、酒造大手ロスピルトプロム(同副首相)、農業関連リース大手ロスアグロリージング(同副首相)、ロスネフチガス(セーチン副首相)、電力大手UES(同副首相)、防衛関連企業持ち株会社オボロンセルビス(Oboronservis)(アナトーリー・セルジュコフ防衛相)。

このほか、水力発電大手ルスハイドロ(セルゲイ・シュマトコ・エネルギー相)、ガスプロム(同相)、石油大手ザルベジネフチ(同相)、シェレメーチエボ国際空港(イーゴリ・レビチン運輸相)、航空大手アエロフロート(同相)、穀物流通大手ユナイテッド・グレイン・カンパニー(エレーナ・スクリンニク農相)、通信関連企業持ち株会社コミュニケーションズ・インベストメント・カンパニー(イーゴリ・シチョーゴレフ情報技術・通信相)、公共テレビ局「チャンネル1」(同相)となっている。

また、アルカディ・ドボルコビッチ大統領経済顧問は5月5日付の英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、ロシア国内からの資本流出がハイペースで進んでいることから、メドベージェフ大統領は近く、国内投資環境の改善を狙った新たな政策を打ち出す、と述べており、年末から来年にかけての総選挙や大統領選挙はロシアの投資環境が大きく改善するかどうかの試金石になりそうだ。

(増谷 栄一)

バックナンバー

閉じる

ページの先頭へ戻る