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露国営石油ロスネフチ、英蘭シェルと提携協議に入る=英BPとの提携失敗で
2011/06/08

露国営石油大手ロスネフチは英石油大手BPとの資本提携が5月16日の期限までに実現しなかったことから、期限の再々延長を応じず、いったんBPとの協議を白紙に戻したうえで、新たな提携パートナーを模索する方針に転換した。

ロスネフチがBP以外の石油メジャーとして最初の提携候補として選んだのが英蘭石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルだ。政府は5月25日に、ロスネフチがシェルと北極圏・南カラ海の3鉱区(東プリノボゼメルスク-1、同2、同3)と黒海の石油開発を共同で実施するかどうかをめぐって協議に入ったことを明らかにしている。

ロスネフチがBPとの交渉期限を再々延長しなかったのは、南カラ海の3鉱区の開発権はロスネフチが2009年11月に取得し、2040年11月までの30年間有効となっているが、BPとの交渉が長引いている間に、他の北極圏の海底油田の開発権を得る機会を失う恐れがあったため言われている。

また、南カラ海の3鉱区の開発スケジュールは、2016年までに地質構造調査を実施、その後、2020年までに6本の探鉱のための石油井の掘削を行うことになっており、こちらも早く提携パートナーを決める必要があるからだ。

シェルとの協議には、シェルのピーター・ボーサー最高経営責任者(CEO)とロスネフチ前会長のイーゴリ・セーチン副首相(エネルギー担当)、また、ロスネフチのエドゥアルト・クダイナトフCEOも参加している。

シェルは現在、ロシア国内ではロシア・サハリン沖の石油・天然ガスプロジェクト「サハリン2」と「サハリン3」に参画しているが、協議ではサハリンプロジェクトも議題に上ったとしている。

BPとの協議、白紙からの再スタートに

ロスネフチはすでに、シェルのほか、米石油大手エクソンモービルや米石油大手シェブロン、さらには、インドや中国の石油メジャーからも打診を受けており、協議を検討している。一方、BPについては、ロスネフチは今後も引き続き、他の石油メジャーと同じ条件で提携協議を進めるとしている。

しかし、BPは傘下の露石油合弁大手TNK-BPのロシア側株主AAR(アルファグループとアクセス・インダストリーズ、レノバで構成)からロスネフチとの協力関係の構築について了解を得ることがロスネフチとの協議再開の条件となっている。

この点について、ロスネフチのアレクサンドル・ネキペロフ会長代理は、BPがTNK-BPの完全買収をめぐるAARとの協議がまとまれば、今後、BPと共同で北極圏・南カラ海の開発の協議を再開することは拒まない考えを示しているが、新たな戦略提携合意を目指して協議を仕切り直さざるを得ないBPにとって背負っているハンデは同業他社に比べて、余りにも重いことは間違いない。

同会長代理は、「ロスネフチは同じ過ちは2度としない」としたうえで、「BPは(AARとのTNK-BP完全買収の)問題を自力で解決すべきことは明白だ。BPがその問題を解決するか、あるいは別な解決法が見つかれば、ロスネフチは何ら拒否するものではない」と述べている。

過去の経緯をもう一度おさらいすると、BPは今年1月にロスネフチと共同でロシア領北極圏の海底油田の開発を進めるため、相互に株式を交換し資本提携(BPはロスネフチの株式9.5%を取得、ロスネフチはBPの株式の5%を保有)することで合意したが、TNK-BPの大株主のAARの反対で、ロスネフチとの企業連合の発足が危機に直面したため、5月6日に起死回生策としてTNK‐BPをBP・ロスネフチ連合による石油開発プロジェクトに参加させることで和解した。

しかし、ロスネフチはTNK-BPの石油開発のノウハウや経験が浅いことや、BPとAARの和解内容では、BPとロスネフチとの間で相互に交換された総額160億ドル(約1兆3,000億円)相当の株式は第3者の信託財産として管理され、投資目的だけに利用するよう制限が設けられること、さらに、両社は相互に役員を交換しないことが義務付けられているため、難色を示した。

このため、BPは4月に一度断念したTNK-BPの完全買収に方針転換し、AARの持ち株50%の取得に向けて話し合いを再開した。前回4月の買収協議ではBPはAARに270億ドル(約2兆2,000億円)の買収額を提示したが、AARはTNK-BPの時価総額を700億ドル(約5兆7,000億円)超とみて、その半額を要求して折り合わなかったが、再協議では、BPはAARに対し90億ドル(約7,300億円)相当のBP株の譲渡を含めた総額320億ドル(約2兆6,000億円)を提示したものの、話し合いは不調に終わっている。

こうした過去の教訓を活かすため、ロスネフチはシェルとの協議では、シェルとの株式交換については議論の対象から外しており、早期の提携パートナーの獲得に全力を挙げる構えだ。

(増谷 栄一)

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