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新興国情報

ブルガリア、ベレネ原発建設めぐりロシアと“不協和音”=完全合意に赤信号
2011/06/22

ブルガリア政府は、3月11日に起きた東日本大震災で東京電力・福島第1原発の炉心がメルトダウンし放射能が漏れた事故を受けて、同国北部のベレネ(Belene)に立地を予定している原子力発電所1、2号機(各発電出力100万キロワット)の建設を6月末まで3カ月間凍結したが、さらに7月以降も9月末まで3カ月間の凍結延長を検討している。

これはトライチョ・トライコフ経済・エネルギー相が6月17日に首都ソフィアで開かれたエネルギー関連インフラに関する会合で明らかにしたものだが、ブルガリアでは、東日本大震災直後の4月5日に、原発建設主体の国営電力大手NEKがパートナーである露国営原子力企業ロスアトム傘下の原子力機関アトムストロイエクスポートとの間で、原発建設プロジェクト自体を中止するか、あるいは、建設計画を続行するかどうかの最終判断を示す期限を3月末から6月末まで3カ月間延長することで合意したが、今回はさらに9月末まで3カ月間の再々延長を検討しているというのだ。

これまで両社は3月末までに最終契約に調印することで合意、その期限まで両社は懸案となっている建設費用を確定するためギリギリの協議を行っていた。しかし、東電・福島第1原発事故で、EC(欧州委員会)がブルガリアのベレネ原発に対する安全性を確認する方針を明らかにしたことから、6月末までの3カ月間でストレステスト(耐久性検査)を実施することを余儀なくされていた。

原発建設費問題が最大の障害

ベレネ原発の建設計画は、ブルガリア政府が2006年にアトムストロイエクスポートに当時、40億ユーロ(約4,600億円)で建設を発注することで仮合意したことから始まるが、2009年7月にブルガリアのボイコ・ボリソフ首相が率いる中道右派のGERB党が政権与党となった以降は、パートナーとして同原発の49%の権益を取得するのと引き換えに20億ユーロ(約2,300億円)を出資する予定だった独RWEが撤退するなど、西側の投資家からの金融の確保が困難となったことや、建設費をめぐるロシア側とブルガリア側の対立などで、同原発の建設着工は大幅に遅れているのが実態だ。

最近は、昨年12月にNEKとアトムストロイエクスポートが2016年に1号機の完成を目指して新しい覚書を交わし、建設計画が前進し始めたが、ブルガリア側は、建設費を50億ユーロ(約5,750億円)に抑えたいとする一方で、ロシア側は63億ユーロ(約7,250億円)を主張して譲らず、平行線をたどり完全合意に至っていない。

今回の建設合意のさらなる3カ月の再々延長について、トライコフ経済・エネルギー相は、「建設費用について、これまでロシア側から得た情報ではわれわれは十分納得することはできない。さらに情報を得る必要がある」としたうえで、「建設着手に向けた準備作業の遅れを取り戻すために3カ月の延長を提案した」と述べている。

また、同相は9月末まで3カ月間の時間的余裕ができれば、ロシア側と建設費について協議を続行することが可能になり、新たな建設契約の締結も可能になるとも指摘、ロシアとの最終合意を急がない考えを示している。

ただ、問題はロシア側が再々延長の提案を呑むかどうかだ。現在の合意ではNEKとアトムストロイエクスポートは7月1日までに原発建設のための最終合意に調印することが求められているため、同相はロシア側が再々延長に反対して仲裁裁判所に訴えることも1つの選択肢としてありうるとして、その可能性は否定していない。

ベレネ原発は完成すれば、NEKが51%の権益を保有、ロスアトムが47%、残り2%をファインランドの電力大手フォルトムとフランスの原子力コンサルティング大手アルトラン・テクノロジーズが1%ずつ分け合うことになっている。

(増谷 栄一)

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