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新興国情報

中国・ポーランド経済交流に暗雲=中国企業の建機事業買収断念で
2011/07/13

中国建設機械大手の広西柳工機械(LiuGong)は6月27日に、突然、ポーランド国営の建設機械・軍用兵器大手フタ・スタロバ・ボラ(HSW)の建設機械事業部門の買収協議をいったん断念する方針を明らかにしたが、地元メディアでは、これは最近の中国とポーランドの経済摩擦が原因になっていると指摘しており、両国間の経済交流の発展の将来に暗雲が漂い始めている。

広西柳工機械はポーランド財務省に宛てた書簡のなかで、HSWとの最終合意への調印は適当な時期が来るまで延期したいと、突然、申し出ている。買収が成功すれば、2億5,000万ズロチ(約74億円)の国庫収入が財務省に入っていただけに、国営企業の民営化を急いでいるポーランド政府にとっては大きな痛手だ。

ちなみに、ポーランドは、今年は国営企業300社の民営化で150億ズロチ(約4,400億円)の資金調達を目指しており、2012年は100億ズロチ(約3,000億円)を超える見通し。

もともと、ポーランドの国営企業の民営化は、ドナルド・トゥスク首相が2007年の首相就任以来、国営経済からの脱却を提唱したのが始まりで、ポーランドは早ければ2015年にもユーロ導入を目指しており、そのためにも財政赤字を現在の対GDP(国内総生産)比8%からEU(欧州連合)規定の同3%にまで引き下げる必要があることから民営化に躍起となっている。

話は元に戻るが、広西柳工機械とHSWの両社は1月18日に買収で仮合意しており、その後、条件面で協議を続けてきたが、今後2カ月以内に最終合意するはずだった。

地元メディアは、今回の広西柳工機械によるHSWの建設機械事業部門の買収断念は、ポーランドの国道・高速道路総局(GDDKiA)が6月20日に中国・鉄道省傘下のインフラ建設大手、中国中鉄(チャイナレールウェイ)の子会社である中国海外工程集団(COVEC)を建設事業者から排除した決定との関連性があると伝えている。

COVECは2009年9月にGDDKiAから、ワルシャワとベルリンを結ぶ高速道路A2の2区間50キロの工事を政府の予算28億ズロチ(約830億円)の半値以下で落札に成功したが、5月に同社の下請け業者が工事請負代金の支払いが遅れたことに抗議してストライキに入ったため、COVECが担当するA2の2区間の建設工事は中断した。COVECは、支払い遅延はGDDKiAが工事代金の支払いを遅らせたためだとして両者が対立していた。

その後、COVECは建設資材の高騰を理由に建設契約の見直し協議を求めたが、ポーランド政府はこれを拒否、GDDKiAはCOVECとの契約を破棄したうえで、COVECに7億4,100万ズロチ(約220億円)の損害賠償を請求すると発表している。

一方、これに対し、中国政府は6月20日に、損害賠償を支払う義務はないとして反発、ポーランド政府はCOVECを冷遇し、建設プロジェクトを実施するのを困難にさせた責任があると厳しく非難し、両国関係は政治問題化しており、そのなかで今回のHSWとの協議が不調に終わった背景があるとみられているのだ。

また、HSWの労働組合は、広西柳工機械によるHSWの建機部門の買収提案に関し、買収条件として、労働者の5%の賃上げと5年間の雇用保証を要求して、中国側との協議が平行線をたどっており、6月29日の最終合意が困難になっていたこともある。

中国側は3%の賃上げと3年間の雇用保証に応じる姿勢を示しているものの、両者の間にはまだ大きな隔たりがある。HSWの株式の80%はポーランド政府が保有しており、現在、従業員数は約2,000人となっている。

(増谷 栄一)

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