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トルコ経済、当面の課題は貿易赤字拡大と高失業率
2011/02/16

トルコ投資銀行大手アタ・インベストが最近発表した調査結果によると、トルコ経済が直面する当面の課題は、貿易赤字の急増と高水準の失業率だという。トルコでは貿易赤字が急拡大しており、この赤字を埋める財源の手当てが困難になる可能性があるからだ。

実際、トルコ統計局(TurkStat)が1月28日に発表した2010年12月の貿易赤字は、国内景気の過熱と原油高を反映して輸入が急増した結果、同統計が開始された1984年以降では過去最大の87億ドル(約7,300億円)に達し、前年同月比75%増とほぼ倍増している。

内訳は、輸入が同36.8%増の206億ドル(約1兆7,200億円)と好調だったが、輸出はトルコの主要貿易相手国の欧州の景気低迷で、同18.1%増の119億ドル(約1兆円)に伸び悩んでいる。

また、2010年全体の貿易赤字も前年比84.5%増の716億ドル(約6兆円)と、ほぼ倍増している。輸入は同31.6%増の1,855億ドル(約15兆5,300億円)に対し、輸出は同11.5%増の1,139億ドル(約9兆5,300億円)だ。

トルコのエネルギー輸入依存体質が変わらない限り、原油高が続く間は、今後も貿易赤字は拡大することを意味する。

現在、欧州は対トルコ投資の約80%を占めるが、南欧のPIGS(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)諸国やアイルランドの債務危機による欧州経済の疲弊で、すでに昨年の欧州からの対トルコ投資額は2009年の水準を下回っている。

今年も依然として欧州の投資家はリスク投資を控えている状況では、今後、欧州からのトルコへの短期資金の流入は減少し、トルコの貿易赤字をカバーすることが困難になる恐れがある。

また、高水準の失業率もトルコ経済の先行きを考えるうえで懸念材料となっている。失業率は2009年2月に16.1%に達したが、2010年10月には11.2%まで低下。今年は11%に改善する可能性があるものの、依然として高水準にあることには変わりはないからだ。

現在、米信用格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスはトルコの長期ソブリン格付けを投資適格級を2段階下回る「Ba2」としているが、これは反政府市民暴動で揺れるエジプトの長期ソブリン格付けと同じだ。

ムーディーズは1月末にエジプトの格付けを引き下げ、トルコと同じ格付けにしている。これにはトルコ政府もショックを隠しきれず、トルコの格付けは不当に低いと反発している。ただ、唯一救いなのは、アウトルック(格付け見通し)がエジプトは引き下げ方向の「ネガティブ」となっているのに対し、トルコは引き上げ方向の「ポジティブ」になっている点。トルコ政府では今年中に投資適格の格付けになるよう期待しているところだ。

(増谷 栄一)

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