2002年のアカデミー賞授賞式で、主演女優賞に選ばれたハル・ベリーが受賞スピーチの際に着ていたドレスが、レバノン人デザイナーエリー・サーブ氏(46歳)のブランド「エリー・サーブ」。
そのエリー・サーブ氏が株式上場の意思があることを明らかにしている。
エリー・サーブ http://www.eliesaab.com/
エリー・サーブ氏は、「株式公開を検討しているのは事実です。株式公開はわれわれの事業をさらに進化させるための自然な行為だと考えています」
とのコメントを発表している。
現状、エリー・サーブは非公開会社のため、売上、利益規模の詳細は不明だが、過去10年間に22カ国に進出を果たすなど、大きな成長を遂げていることは間違いなさそうである。
エリー・サーブはドレスでの成功に続き、バッグ、靴、ジュエリーでも成功しており、遂にはBMW Xシリーズの内装デザインを担当したほか、メガヨットのデザインも担当し、昨年、アブダビで開催されたヨットショーでお目見えしている。
エリー・サーブ氏は今後の事業展開について以下のような計画も明らかにしている。
「われわれは着実に成長しています。今後数年以内にアジア各国、香港、北京、上海、ビバリーヒルズ、ニューヨーク、モスクワに出店する計画を持っています。当社の戦略は、エリー・サーブブランド商品レンジの拡大と積極的な海外出店により、世界中の女性に当社のブランドを身につけてもらうことです」
さて、もう少し、エリー・サーブの人気についてみていきたいと思うが、前出のアカデミー賞主演女優ハル・ベリーのほかに、スウェーデンのヴィクトリア王女が結婚式に着ていたドレスもエリー・サーブだったほか、ビヨンセ、ブレイク・ライブリー、クリスティーナ・アギレラ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、エリザベス・ハーレイなど、そうそうたるスター達がエリー・サーブの顧客となっている。
ハル・ベリーが2002年アカデミー賞主演女優賞受賞スピーチで、エリー・サーブのドレスをまとっていたことで一躍脚光を浴びた翌2003年には、パリ・クチュール組合(The Chembre Syndicate De La Haute Couture)より、パリ・オートクチュール・コレクションに招待(ゲスト参加)されている。
エリー・サーブ氏は幼くしてベイルートで手芸を習い、デザインを学ぶためにパリに留学。
その後、1982年、19歳の時にベイルートに小規模な作業場をオープンしている。
1990年代後半からは、除々にヨーロッパのファッションショーにも参加するようになり、2000年代に入り、ハリウッドのセレブ達に人気のブランドとなったという経歴を持っている。
今や、世界中のセレブ達を魅了するセレブ御用達ブランドへと成長したといっても過言ではないだろう。
レバノン発の世界的なファッションブランドが上場を果たすのはどこの株式市場になるのだろうか。
今のところ、詳細は明らかになっていないが、中東のファッションの中心地ドバイの株式市場に上場を果たしてくれると、ドバイ株式市場も賑やかになるのだが。
いずれにせよ、非常に華やかな企業だけに、早期の上場が待たれるところである。
ちなみに、フランスのファッション専門学校エスモードのドバイ校の調査によると、現在の湾岸諸国のファッション市場は約120億ドル(約9,800億円)。
ショッピングモール文化が浸透していることも手伝い、昨年の中東全体のファッション市場も前年比15%の伸びを見せたということである。
エリー・サーブが上場を検討しているいま、中東のファッション市場についても少し興味を持っていただければと思う。
(マウリーシ・ハーリド・ビン・アルワリード)