本日は、恐らく聞きなれない名前、パキスタン出身のアリフ・マスード・ナクビ氏についてお伝えしたいと思う。
アリフ・ナクビ氏(Arif Naqvi)とは一体誰なのかということであるが、実は、中東北アフリカ最大のプライベートエクイティファンドと言われるアブラージ・キャピタルの創業者であり、CEO(最高経営責任者)であり、副会長である人物である。
アブラージ・キャピタル http://www.abraaj.com/english/index.aspx
それがどうしたということであるが、実は、われわれ日本人にも馴染みの中東企業の取締役を務めている人物なのである。
それも一社や二社ではない。
以下で主だったところをご紹介したいと思う。
・アラメックス・インターナショナル:会長
ご存知、中東北アフリカ最大の宅配便企業
(http://www.aramex.com/)
・EFGエルメス・ホールディングス:元取締役
中東北アフリカ最大の証券会社。中東の野村證券といったところか
(http://www.efg-hermes.com/English/Home.aspx)
・エアアラビア:社外取締役
中東北アフリカ最大の格安航空
(http://www.airarabia.com/home)
・オラスコム建設:(独立)社外取締役
エジプト最大のゼネコンというよりも、中東を代表するゼネコン
(http://www.orascomci.com/index.php?id=home)
・アラブテック:元取締役
UAE(アラブ首長国連邦)最大のゼネコン
(http://www.arabtecuae.com/)
・スピニーズ:会長
今、中東で最も勢いのあるスーパーマーケットの1つ。リビア進出計画も持っていた
(http://www.spinneys.com/Global/Default.aspx?pageid=37)
さて、アリフ・ナクビ氏は、アブラージ・キャピタルを創業する以前は、中東、南アジア諸国の金融業界で着実にキャリアを積み上げてきている。
主なところでは、アーサー・アンダーセン(ロンドン)、サウジの大財閥オラヤン・グループのビジネス開発部門副社長、パキスタン・アメリカンエキスプレス銀行などである。
欧米の巨大金融財閥と関係が深いと言われている企業を渡り歩いてきているというわけである。
さらに、ナクビ(Naqvi)という名前は、イスラム教シーア派の主流派である12イマーム派の第10代イマーム、アリー・ハーディの末裔(まつえい)で、南アジア、トルコ、イランによくみられる名前だと言われていることから、恐らく、アリフ・ナクビ氏もこの系譜に含まれることになるだろう。
そして、シーア派の実業家として世界的に有名な人物として真っ先に浮かぶ名前は、シーア派イスマーイール派の指導者(王と表現する人もいる)アガ・カーン3世(1877年11月2日〜1957年7月11日)だろう。
そのアガ・カーン3世もパキスタン出身。
ということで、イギリスの金融財閥と深いつながりのある、アガ・カーン家とナクビ氏の間になんらかのつながりがあることも想像される(現在は、孫のアガ・カーン4世が指導者)。
この辺りは、今後の研究課題であるが、いずれにせよ、日本ではほとんど名前を知られていないが、これほどの大物が、ドバイの人気企業アラメックス、エアアラビアの成長を影で支えているということを忘れてはならないだろう。
(マウリーシ・ハーリド・ビン・アルワリード)