本日は、熱く燃え上がるクルディスタン経済ネタをお伝えしたいと思う。
長年、アメリカのブランドを避けてきたクルディスタン(クルド人自治区)に、アメリカの有力ホテルチェーン「マリオット」が進出を果たすことが発表された。
この発表は、マリオット・インターナショナルがイラクのエンパイア・イラク社との間で、2014年にクルディスタンの中心都市であるエルビルに新たに開業する予定の「マリオットホテル&リゾート」(全200室)と、豪華なアパートメントタイプのホテル(全75室)の2軒のマネジメントに関するものである。
アメリカ資本のホテルでは、今年5月に「ベスト・ウェスタン・インターナショナル」がエルビル進出計画を明らかにしているが、今回のマリオットによるエルビル進出発表は、それに次ぐものとなった。
実際に開業にこぎ着ければ、2003年にアメリカ軍がイラクに侵攻して以降、イラク国内初のアメリカ資本ホテル開業となる。
アメリカ資本ホテル以外には、ドバイを本拠とする「ロターナ(Rotana)ホテル」が既にエルビルで営業を開始しているほか、インターコンチネンタルホテルグループ(イギリス)もイラクの市場調査を開始することを表明済みである。
マリオットの国際ホテル事業部長のエド・フラー氏は、「今後エルビルには世界的なブランドが続々と集まってくると思います。クルディスタンこそエマージングカントリーなんですよ」とのコメントを発表している。
反政府デモが沈静化する兆しが見えないなかでの中東北アフリカ市場進出は、ホテル業界にとって大きなチャレンジとなる。
実際に、マリオットもリビアでの営業が停止に追い込まれるという憂き目にあっている。
しかし、それでもクルディスタン進出を決めたということは、クルディスタンの市場がそれ程魅力的であると判断したからであろう。
今から2年前にバグダッドを訪問したフラー氏は、時の米軍中央軍総司令官デヴィッド・ペトレイアスからイラク進出を強く促されたが、その時の正直な感想は、
「時期尚早」
であった。
それから2年、ついにマリオットがイラク進出を果たす。
われわれも、マリオットのイラク進出を見て、何かを感じよう。
(マウリーシ・ハーリド・ビン・アルワリード)