NISAに適した金融商品は? 〜投資信託編 英国に学び、コスト重視に転換を

長期的な視野でNISAを活用

NISA(日本版ISA:少額投資非課税制度)は証券会社、銀行などの積極的な広報もあって、その理解が広まりつつあるようだ。NISAは制度上、中長期的な資産形成を促す目的とする面があり、NISA口座の利用が広まることによって、中長期的な観点をより重視した運用が広がるとみられる。

実際にNISAがモデルとした英国のISAの現状をみると、ISA経由のファンドは一般のファンドに比べて保有期間が2倍程度長くなっているようだ。これはISAの非課税メリットをできるだけ長く享受したい投資家の意向の表れと考えられる。

長期資産形成に影響する「コスト」問題、従前より指摘も変化なし

一方で、仮に長期運用が進んだ場合、従前より一部で指摘されていた「コスト」の問題に留意したい。コストはファンドの運用成績を確実に押し下げる要因となり、保有期間が長期であるほど影響を受ける。例えば、信託報酬等(税込み)が1%余計にかかった場合、5年間継続して運用したら5%、10年間なら10%、それぞれ運用成績を押し下げることになる。複利効果を考えると、運用成績はさらに押し下げられる。

しかし、現在、国内で人気のファンドをみると、コストの低いファンドはあまり人気がないようだ。各ファンドをコストの高低によって分類し、2013年上半期(1−6月期)の純資金流出入額をみると、全体的にコストが「低いファンド」と「やや低いファンド」から資金が流出していることが分かる。国内投資家はコストなどよりもその時々の市場環境や分配金利回りなどを重視して、投資するファンドを選んでいるとみられる。

図1:国内ファンドのコスト分類別純資金流出入額(2013年1−6月期)

図1:国内ファンドのコスト分類別純資金流出入額(2013年1−6月期)

※1 国内公募追加型株式投信(DC、SMA、ETF等除く)の各ファンドについて、コストには信託報酬等(税込み)を使用し高い順に%ランク別に分類。
※2 信託報酬等(税込み)の%ランクは、高い=上位80%以上、やや高い=上位60%以上〜上位80%未満、普通=上位40%以上〜上位60%未満、やや低い=上位20%以上〜上位40%未満、低い=上位20%未満
出所:モーニングスター

高コストファンドは英国籍ISA用ファンドでは人気無し、NISAきっかけに転換を

一方で、同期間、ISA先進国であるイギリスでは、コストの「高いファンド」と「やや高いファンド」の純資金流入額が相対的に少ない。全体的にコストが高いファンドは人気がないようだ。ISA経由のみを対象としているわけではないので、一概に言えないものの、英国籍ISA用ファンドの選定にあたっては、コストがある程度重視されていると推測される。

なお、ISAを利用しない場合でも同様の傾向があるとは想定されるものの、特にISAを利用した場合には保有期間がより長期化することから、コストの影響が意識されやすいとみられる。また、コストの観点からインデックスファンドは注目されるが、英国籍ISA用ファンドでは設定本数が少なく、アクティブファンドに対して純資金流入額は非常に小さい。

図2:英国籍ISA用ファンドのコスト分類別純資金流出入額(2013年1−6月期)

図2:英国籍ISA用ファンドのコスト分類別純資金流出入額(2013年1−6月期)

※1 英国籍、英国ポンド建て、Oldest Share(最も設定が古いシェアクラス)のISA用ファンドを対象とし、「ネット経費率(運用報告書ベース)」を高い順に%ランク別に分類。
※2 「ネット経費率(運用報告書ベース)」の%ランクは、高い=上位80%以上、やや高い=上位60%以上〜上位80%未満、普通=上位40%以上〜上位60%未満、やや低い=上位20%以上〜上位40%未満、低い=上位20%未満
※3 今回は「ネット経費率(運用報告書ベース)」のデータのあるファンドのみを集計した。
出所:「MorningstarDirect」よりモーニングスター作成。

国内投資家は従前からコストをあまり意識せずにファンド選定を行っているようだが、長期資産形成の観点からNISAはコストについて考える良いきっかけとなるだろう。NISAの申し込みにあたっては意識を転換して、各販売金融機関で扱われているファンドのコストを選定要素として検討してもらいたい。

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