NISAに適した金融商品は? 〜投資信託編 有力ブロガー注目のファンドは?

 来年のNISA(少額投資非課税制度)開始がいよいよ迫り、投資先ファンドを具体的に検討し始める投資家も多いはずだ。個人投資家は実際、どのようなファンドに注目するのか。この度、月間ページビューが数万〜数十万の有力投信ブロガー5人に緊急アンケートを行い、彼らがNISAで投資を検討しているファンドなどをズバリ聞いた。個人投資家のオピニオンリーダーとしてネット上で積極的に発信するブロガーの見解を通して、NISAのニーズを探る。

バランス型が有力、リバランスと下落リスク軽減に期待

 今回、アンケートを行ったのはブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」の水瀬ケンイチ氏(ハンドルネーム)、「rennyの備忘録」のrenny氏(同)、「かえるの気長な生活日記。」の尾上堅視氏、「インデックス投資日記@川崎」のkenz氏(同)、「吊られた男の投資ブログ」の吊られた男氏(同)の5名だ。注目ファンドとしては以下の9本が挙げられた(図表1)。これらを見ると、「(1)バランス型ファンド」、「(2)コストを抑えつつリターンを狙うファンド」、「(3)直販ファンド」という3つの傾向が読み取れる。

図表1:NISAでブロガー注目のファンド一覧

ファンド名 注目ブロガー
野村 インデックスF・新興国株式 吊られた男氏
SMT グローバル株式インデックス 吊られた男氏
世界経済インデックスファンド kenz氏、尾上氏
EXE-i グローバル中小型株式ファンド 尾上氏
上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI−KOKUSAI)(1680) 尾上氏
バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT) 水瀬氏、尾上氏
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド renny氏
セゾン 資産形成の達人ファンド renny氏
ひふみプラス 尾上氏

出所:ブロガーアンケートの結果を基にモーニングスター作成

 「NISAでどのようなタイプのファンドに注目しているか」との問いに対する答えとしては、バランス型ファンドが多かった。kenz氏(投資経験約5年・40代男性・会社員)は「インデックスファンドで構成された低コストのバランスファンドに注目している」。NISAは損益通算ができないため、5年の非課税期間終了時をプラスリターンで終わることが重要だ。また、ポートフォリオの配分を調整する「リバランス」を行うとその分非課税枠が消費されてしまう。こうしたNISAの制約があることから、同氏は「全力で株式に投資するハイリスク・ハイリターンは向いていないと考え、下振れリスクを低減でき、ファンド内でリバランスできるバランスファンドを有力候補の一つと考えている」という。

 バランス型ファンドの有力候補としてkenz氏など2名のブロガーがピックアップしたのが「世界経済インデックスファンド」だ。ポートフォリオの基本組入比率を世界経済に占める地域別のGDP(国内総生産)シェアに応じて決定する点が特徴で、さらに組み入れる各資産をインデックスファンドで運用することにより信託報酬を低く抑えている。

リターン狙い、低コストのインデックスファンドやETF活用

 もっとも、せっかくの非課税メリットを最大限に活かすために、高いリターンを狙うのも一案との意見もあった。これが2つ目のポイントとなる「コストを抑えつつリターンを狙うファンド」。吊られた男氏(投資経験6年強・30代男性・会社員)は確実に節税メリットを享受したい人向けにバランス型ファンドに注目する一方、「リスクは高いが無分配で節税効果を最大限に生かそうとする人向け」には低分配でハイリスク・ハイリターンのファンドも検討に値するとして、具体的には「野村 インデックスF・新興国株式」と「SMTグローバル株式インデックス・オープン」を挙げている。

 尾上氏(投資経験8年・30代男性・会社員)もバランス型ファンドとともに、「期待リターンが高い日本株式、世界株式(先進国・新興国)のファンド」に着目する。世界の大型株に投資するファンドは珍しくないが、同氏が注目する「EXE−i グローバル中小型株式ファンド」は先進国(日本含む)と新興国の中小型株に幅広く投資するファンドで、地域別に加え規模別での分散効果も期待する投資家向きの商品と言えそうだ。同じく尾上氏注目の「上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI−KOKUSAI)」(コード番号:1680)は日本を除く先進国株式に投資する国内上場ETF(上場投資信託)で、「信託報酬が安く、NISAだと株式手数料無料のネット証券もある」(同氏)点から魅力があるという。ファイナンシャルプランナーである尾上氏は、「資産形成世代の商品選びのコツとして、ETFや投信の場合は分配金の少ない商品を選ぶようにしたい」とアドバイスする。

海外上場ETFも選択肢、「VT」で全世界株式に丸ごと投資

 また、コストを低く抑えながらリターンを狙う投資先としては、NISAではあまり脚光を浴びていないが、海外上場ETFへの投資を考えているとの声もあった。国内上場ETFも普及してきたとは言え、ファンドの流動性や規模においては米国に大きく差を付けられている。海外ETFは、「今後、一生付き合えると思える運用コストの低さと純資産額の大きさを備えているから」と水瀬氏(投資経験15年・40歳男性・会社員)。尾上氏と水瀬氏の2人が候補として挙げたのが「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」(ティッカー:VT)というETFだ。「このETF1本に投資するだけで、新興国を含めた全世界の株式市場(大型株だけでなく、中小型株にも)に投資できる点が魅力」(水瀬氏)という。

 海外上場ETFは外国株式扱いで金融機関によってNISAに対応するかがまちまちなため、NISA口座を開く際は確認が必要だが、低コストの商品に注目する投資家にとっては有力な選択肢となるだろう。購入時の手数料が無料となるノーロードのインデックスファンドとは異なり、ETFは買い付ける際にコストがかかるのがネックだが、NISAのキャンペーンで2014年に限り海外ETFの買い付け手数料を無料にする証券会社もあり、注目に値する。

直販に魅力、積立にはノーロードが最適

 個人投資家の間でじわり人気が広がる直販投信をNISAで活用する手もある。直販投信は証券会社を通さず投資家に直接販売することからそう呼ばれ、販売手数料が無料で信託報酬も低く抑えているファンドが多い。renny氏(投資経験10年・40代男性・会社員)は「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「セゾン 資産形成の達人ファンド」にこれまで積立で投資しており、今後はNISAの投資先として両ファンドを検討している。

 また、日本株に投資する低コストなアクティブファンドとして尾上氏が注目する「ひふみプラス」は、直販の「ひふみ投信」の姉妹ファンドとしてネット証券などで販売されており、ノーロードのコースを選べば販売手数料はかからない。さらに、上述したセゾン投信の2ファンドと「ひふみプラス」の信託報酬等(監査報酬やその他費用など含む、税込み)は類似ファンド分類平均を大きく下回っており(図表2)、特にひふみプラスの信託報酬等は1.03%と類似ファンド分類内で最も低い。NISAにおいて長期で保有するほどコストの低さがパフォーマンス面でプラスに働くと期待される。

図表2:信託報酬等(税込)の類似ファンド分類比較

図表2:信託報酬等(税込)の類似ファンド分類比較

※1 「ひふみプラス」の比較対象は同ファンドが属するモーニングスターの類似ファンド分類「国内中型グロース」、「セゾン 資産形成の達人ファンド」は同分類「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」、「セゾン バンガード・グローバルバランスF」は同分類「バランス」
※2 比較対象はDC、SMA、ETFなど除く
※3 信託報酬等は2013年9月末時点、信託報酬のほか監査報酬やその他費用など含む
出所:モーニングスター作成

 renny氏は、「『NISAに最適の商品』、『NISAに、、、』といったうたい文句の商品には気を付けるべき。これまでの商品に比べて劇的に低廉な保有コストで済む商品のみが注目すべきファンド。ただし、これはNISAだから、という話でもない」と指摘する。NISAに限らず、コストの低さなど良いファンド選びの基準を投資家それぞれがしっかり定めるのが重要ということだろう。

NISA恒久化への要望強い、途中売却など柔軟な対応も必要

 また、アンケートでNISAの改善すべき点について聞いたところ、ブロガーからは「非課税期間の恒久化を要望する」(水瀬氏)、「(口座開設期間が)10年間限定という期限の撤廃も望む」(吊られた男氏)という声が多かった。背景にあるのは、NISAの制度上の問題点。5年の非課税期間終了時に損失が発生していた場合、課税口座に移管した後に値上がりするとその分が課税対象となってしまう(図表3)。このとき値上がり幅が大きければその分余計に税金を払うことになり、NISAを使った方が不利という場合もある。

図表3:NISAの非課税期間終了後の課税イメージ

図表3:NISAの非課税期間終了後の課税イメージ

出所:モーニングスター作成

 NISAがお手本とする英国のISAでは口座開設期間が無期限(NISAは2014年から2023年に限定)であることに加えて、非課税期間(NISAは5年)も恒久化されている。英国と同じように非課税期間が恒久化されれば、損失で終わることを気にせず済むため、「バランスファンドなど考えることなく、株式インデックスファンドや株式ETFなど、期待リターンが高いアセットクラスをNISAに使用できる」(kenz氏)。

 ただ実際に恒久化が今後実現に向かうか不透明な中、投資家は現状のNISA制度をうまく利用するしかないだろう。例えば、5年の非課税期間終了後、NISA口座で保有していた株・投信を翌年からの非課税枠に移管(ロールオーバー)できる制度について、kenz氏は「利用すべきと考える。ただ、途中である程度利益が出ていたら利益確定するのもよい」として、必ずしも非課税期間いっぱいまで持ち続ける必要はないとみている。いよいよスタートするNISAだが、使い勝手がよいとは言えないだけに、投資家には柔軟な対応が求められる。

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