NISAに適した金融商品は?〜株式編 銘柄選びで考慮したい投資指標『PBR』

前回は、割安感のある銘柄を選ぶ判断材料として、投資指標の一つであるPER(株価収益率)についてコメントしました。なお、下表は前回も掲載した各市場の平均(9月30日時点)ですが、6月28日時点と比べると、東証一部のPERは15.81倍から16.45倍に、東証二部のPERは13.45倍から14.70倍に上昇した一方、JASADAQのPERは19.24倍から17.56倍に低下しています。この間、13年7月16日に東証と大証の現物市場の統合があり、東証一部は37銘柄、東証二部は162銘柄増加したため、市場平均の母数が変化しているものの、6月28日時点では市場間の比較で割安感のあった東証二部がもっとも見直された格好となっています。

実際、東証二部の株価指数はこの3ヶ月間に14.3%上昇しており、東証一部(TOPIX)の5.3%やJASDAQ(日経ジャスダック平均)の7.8%を上回る上昇率を示しました。このように、PERで割安な株価が見直されるということは個別銘柄でも起こりやすいので、同業他社と比較する場合などに留意しておきたいポイントです。ちなみにJASADAQについても、指数が上昇しているにもかかわらずPERは低下しています。PER=株価÷利益ですから、株価の上昇率以上に利益予想額が増えているということであり、これも市場全体としては良い傾向と考えられます。

では、今回は、投資指標のうち、PBR(株価純資産倍率)についてコメントしたいと思います。

投資指標

東証一部 東証二部 JASDAQ
PER(倍) 16.45 14.70 17.56
PBR(倍) 1.34 0.87 1.64
配当利回り(%) 1.62 1.86 1.77

※ 9月30日時点(日本経済新聞調べ)
※ PERと配当利回りは今期予想、PBRは前期実績(連結ベース)
出所 モーニングスター作成

PBR だけで評価せず、PERなど他の指標も含めて判断する

PBR(株価純資産倍率)とは、個別企業の純資産と株価を比較したものです。直近の決算期末における1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを示しており、この数値が高ければ割高、低ければ割安ということになります。なお、1株当たりの純資産は、純資産を発行済株式数(発行済株式総数−自己株式数)で割って算出します。ちなみに、株式会社が解散した場合、保有株数に応じて残された会社の資産を分配してもらう権利があり、この対象となるのが純資産であるため、1株当たりの純資産は解散価値と呼ばれることもあります。PBRが1倍なら、株価が解散価値と同じということになり、1倍を下回っていれば、資産価値からみて割安ということになります。

PBR別の分布状況

東証一部 東証二部 JASDAQ
10倍以上 15 2 24
5.0倍以上〜10倍未満 41 8 29
2.0倍以上〜5.0倍未満 230 49 148
1.5倍以上〜2.0倍未満 209 50 70
1.0倍以上〜1.5倍未満 446 67 145
0.8倍以上〜1.0倍未満 282 72 110
0.5倍以上〜0.8倍未満 379 175 212
〜0.5倍未満 142 142 138
1.0倍未満の比率 46.0% 68.8% 52.5%

※ 9月30日時点、PBRが算出できない銘柄は除く
※ 単位・銘柄
出所 モーニングスター作成

ただ、実際の分布状況をみると、上表のように、1倍を下回っている銘柄も多く、特に東証二部では7割近い銘柄がPBR1倍未満となっています。注目度が低い市場や銘柄は割安に放置されることがあり、市場平均が1倍を下回っているように、東証二部はPBRからは割安感の強い状況が続いています。ただ、PERは業績予想をベースに算出されるのに対し、PBRは過去の実績(財務内容)で算出されます。基本的には、株価は企業の将来を評価して変動するため、PBRが割安というだけでは、投資対象として必ずしも有望とは言い切れません。

実際、PBRでは割安でもPERからは割高、ということはあります。例えば、ミツミ電機<6767>の場合、9月30日の終値でのPBRは0.59倍ですが、PERは40.3倍でした。同社は任天堂のゲーム機向け機構部品などを手掛けており、かつては「ニンテンドーDS」などの普及を背景に好調な業績を示していましたが、過去3期はゲーム機の販売不振などの影響から営業損益で赤字となり、1株当たりの純資産も減少が続いています。14年3月期は黒字化を予想していますが、PBR1倍を大きく下回っているように、見通しは厳しいと判断されているようです。

逆に、PBRでは割高でも、PERからは割安、といったケースもあります。例えばトヨタ<7203>の場合、9月30日の終値でのPBRは1.78倍と東証一部の平均を上回っていますが、同PERは14.61倍と平均よりも割安な水準にあります。業績が好調な企業の場合、こうした傾向になりやすいため、PBRだけで割安・割高といった評価をせず、PERなどの指標も含めて判断すべきでしょう。

PBRで調整局面での投資時期を探る

PBRに注目したいのは、むしろ調整局面においてです。ここ数年でみると、東証一部のPBR平均が1倍を下回ったのは、リーマン・ショック後に米国の金融不安が高まった08年10月〜09年4月と、欧州債務問題への懸念が強まった12年5月〜12年11月となっています。いずれも外部環境を反映して株価が値下がりしたと考えられますが、これらの時期でもっともPBR平均が低かったのは、前者が09年3月の0.80倍、後者が12年6月の0.85倍でした。業績や業態に大きな不安のない銘柄であれば、外部要因などを理由にPBR0.9倍を下回るような水準まで値下がりした場合、割安な水準で投資するチャンスと考えられます。NISAで個別株に投資する場合、企業の内容は勿論ですが、こうした外部環境なども考慮して、投資のタイミングを検討すべきでしょう。

NISAに適した金融商品は?

NISAに適した金融商品は?〜株式編

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