NISAに適した金融商品は?〜株式編 「木を見て森を見ず」に注意

 銘柄選びを進める上で、決め手となる要素はさまざまです。業績動向や将来性に加えて、配当、自社株買いなどの株主還元が一般的ですが、ほかにも「カジノ」「インバウンド」といったように、話題性のあるテーマに関連する銘柄に狙いを定める戦略も時に有効です。しかし、「木を見て森を見ず」という諺(ことわざ)があるように、個別材料ばかりに気を取られるあまり、大きな相場の流れに乗り遅れてしまうリスクには十分注意したいところです。

 実際、ここ最近の日本株相場は「ファンドマネージャー泣かせ」の異名を取るほど扱いづらい面があります。特に昨年10月末の日銀の追加金融緩和以降、大幅に上昇している日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)に対して保有銘柄が出遅れてしまっている運用担当者が後を絶たないもようです。これは、日本株物色の主流が、必ずしも微に入り細を穿(うが)つ分析に基づいたものではないということを意味します。つまり、個別企業ごとの細かい情報ではなく、銘柄のサイズや業種といった、よりおおざっぱな判断基準に沿って流入する資金が少なくないというわけです。

 では、属性別の株価の動きを具体的にみていきましょう。日経平均が終値で2万円台を回復した4月22日と、日銀がサプライズ緩和を発表した昨年10月末を比較すると、東証1部全体の動きを示すTOPIXは21.6%上昇しています。一方、東証1部の銘柄を時価総額と流動性に応じて大型・中型・小型の3つに分けた「東証規模別株価指数」の上昇率は、大型が22.0%、中型が22.8%とTOPIXのパフォーマンスを上回った半面、小型が14.8%と大きく出遅れています。

図表1:TOPIXと東証規模別株価指数の値動き(14年10/31〜15年4/22)

図表1:TOPIXと東証規模別株価指数の値動き(14年10/31〜15年4/22)

※ 10/31終値を1として指数化
出所:モーニングスター作成

 この間、有力な買い主体となったのは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などの公的資金と海外投資家。年金はもちろん、海外勢も、マクロ的な観点からポートフォリオの地域別ウエートを調整する目的で日本株を売買するグローバルファンドなどは、時価総額を重視した機械的な運用をします。これでは小型株が乗り遅れてしまうのも無理がありません。

 銘柄のサイズのほかに、業種によってもカテゴライズできます。東証33業種別指数の昨年1年間の騰落率は次の通り。このうち、構成銘柄の数が極端に少ない空運や水産を除くと、化学や繊維、電機などが好パフォーマンスを挙げたことがわかります。円安や原油価格の下落が大きく影響したためです。これも、「個」の分析よりも、セクター単位での資金の振り分けが生んだ結果と考えることができます。

図表2:14年の業種別上昇率の上位

業種 上昇率
空運 39.7%
化学 25.1%
水産 23.8%
繊維 20.8%
電機 20.1%
陸運 20.1%
精密 19.4%
食料 15.9%
建設 15.4%
医薬 13.8%
サービス 13.6%
輸送 11.3%
機械 10.5%
ゴム 10.1%

図表3:15年の業種別上昇率の上位

業種 上昇率
医薬 23.5%
その他製品 18.1%
サービス 16.4%
小売 16.0%
食料 14.7%
ゴム 13.5%
金融 12.5%
化学 12.3%
保険 11.5%
陸運 11.3%
電機 10.5%
精密 10.0%

※ 4/21まで

出所:モーニングスター作成

 今年に入ってからの業種別指数の騰落率では、医薬品や小売、食料品などが上位に付けています。小売や食料品は「デフレ脱却=値上げ」への期待から、やはり、多少の個別業績の動向には目をつぶった物色傾向が見て取れます。一方、本来は「ディフェンシブストック」として全体よりもおとなしい動きをする医薬品株が、足元では最も激しく値上がりした点も、今回の相場の特徴の1つでしょう。

 このように、NISAを活用して投資をする場合も、個別銘柄の情報だけにとらわれず、より大きな視点で、今がどのようなトレンドにあるのかを考えることが重要だと言えます。

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