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移動体通信の新規格LTE開始まで秒読み―中国は独自規格で世界制圧狙う(1)

2010/11/12 19:37

 世界の流れから孤立していることからガラパゴスとやゆされることが多い日本の移動体通信業界だが、世界標準で先行するサービスが間もなく開始される。12月24日からNTTドコモ <9437> は次世代通信LTE(Long Term Evolution)の商用サービス「Xi(クロッシィ)」を提供。

 09年末に商用サービスを開始したスウェーデンのテリアソネラを例外として、同じく年末に全米38都市でサービス開始を予定している米ベライゾンと並び世界で先陣を切るスタートとなる。これに対し中国は国策として独自の通信規格を推進。LTEをしのぐ国際規格に育てる方針だ。しかし、この試みは容易なことではなく、独自規格に固執するあまり世界のなかで孤立する危険もはらんでいる。

●有線ブロードバンド並みの高速移動体通信LTE

 LTEは国内においてNTTドコモとソフトバンク <9984> が採用する現行の3G(第三世代)通信方式W−CDMAの後継規格。4G(第4世代)の準備段階として3Gの進化型であることから3.9G(3.9世代)に位置づけられる。NTTドコモによるサービス立ち上げ時の最大伝送速度は空港・駅など一部施設内で下り75Mbps/上り25Mbps、その他のエリアで下り37.5Mbps/上り12.5Mbps。

 同社が09年6月から導入したHSUPA方式の最大伝送速度は下り7.2Mbps/上り5.7Mbpsであり、現行の携帯端末に比べ伝送速度は格段に向上する。実験レベルの最大伝送速度は下り300Mbps/上り75Mbpsを実現しており、今後は外出時にiPadのようなスレート端末で高画質の動画を遅延なくストリーミング視聴するなど、光回線並みのサービスも実現しそうだ。

●移動体通信初の世界標準規格誕生へ

 LTEがこれまでの移動体通信方式と異なる点は、全世界の主要通信事業者間で共通の規格となる可能性があること。世界の移動体通信方式はこれまで常に複数の規格が並存してきた。2G(第2世代)では欧米の主要事業者がGSM規格を採用したのに対し、日本と韓国ではPDC規格を採用した。これにより、NTTドコモは優れた技術を持ちながら世界で孤立した苦い経験を持つ。

 この経験を踏まえ同社は3Gにおいて欧州勢や米AT&Tが採用するW−CDMA規格を採用した。これに対しベライゾンやKDDI <9433> など一部の通信事業者は通信要素技術に関し多数の特許を有するファブレス半導体ベンダーの米クアルコムが主導するCDMA2000規格を採用。世界の通信事業者の通信方式はW−CDMA陣営とCDMA2000陣営に二分された。

 3.9Gでも当初、W−CDMAの後継規格であるLTEの他にCDMA2000の後継規格であるUMBという競合規格があった。しかし、CDMA2000陣営最大の通信事業者ベライゾンがLTE採用を決定。KDDIなど他のCDMA2000陣営の通信事業者もこれに追随しLTEを採用する予定。これにより、3.9Gでは事実上LTEが世界標準になる可能性が高まった。

 現在、LTEの立ち上げを予定している通信事業者は全世界で132事業者とされ、10年末のNTTドコモおよびベライゾンの商用サービス開始に続き、11年には韓国KTをはじめ第2陣の通信事業者がサービスを開始する。その後はアジアなど各国に広がる見通しだ。

提供:モーニングスター社