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<相場の見方、歩き方>変化の兆しを見逃すな! ICタグが象徴する日本の技術革新(2)

2017/04/24 07:49

(1)からつづく

 そのあたりの変化は、日々のニュースにも現れているようです。今週最も興味を引いたニュースは、コンビニ各社が共通のシステムを開発しICタグを一斉に導入するというニュースです。4月18日付の日本経済新聞が伝えていました。

 経済産業省が音頭を取る形で、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」なるプロジェクトがまとめられているようです。そこでは2025年までにコンビニ大手5社が共通のシステムを導入し、現在取り扱っているすべての商品にICタグを貼りつけることになります。このニュースは相当のインパクトを持つものになりそうですね。

 新聞記事の中では、コンビニでの買い物の際に、買い物カゴに入れたままセルフレジで決済できる利便性を伝えていました。しかしICタグを導入するインパクトはそれだけにはとどまりません。

 コンビニが取り扱う商品は総計で1000億個にもなるそうです。そのすべての商品に1個ずつICタグが割り当てらるということは、それまで「マス」で扱われていた商品がすべてにわたって「ひとつずつの商品」としての顔を持つようになることを意味します。

 たとえば、売り場の陳列棚にキユーピーのマヨネーズが10本並べられていた場合、これまでは単に「キユーピーのマヨネーズが10本」という固まりで認識されていました。それがICタグが付された後は、10本の固まりではなくそれぞれ1本ずつ、まったく違うマヨネーズとして区別されて扱うことが可能となります。

 食品業界では異物混入が事件になる例が後を絶ちません。今後は万が一、食品安全に関して問題が発生しても、ICタグが付けられていれば製品のトレーサビリティー(追跡調査)が容易になるため、以前のような「工場をひとつ丸ごと改善する」というような大がかりなものにならずに済むと考えられます。

 売れ筋商品の把握は、これまでPOSデータで行われていたものがICタグ経由になるのはもちろん、仕入れの部分もかなり自動化されることになるでしょう。

 仕入れはある種、担当者の職人芸です。仕入れに関する読み筋の技術で、見込み発注によって行われていた部分が、今後はICタグを使って半ば自動的に行われるようになりそうです。

 そうなると機械的な受発注や物流の合理化も可能になり、自動化された部分で生産性の向上につなげることができるようになります。

 売れ筋商品の把握も業界を横断して可能になり、同時にマクロ経済データの収集も容易になります。「消費者物価指数」ひとつを作成するにも調査対象品目の把握がたいへんでしたが、それがICタグの導入によって一網打尽にデータが集められることになります。

 当初は大手コンビニ5社の規格統一でスタートすることになるようですが、おそらくすぐにスーパーやドラッグストア、家電量販店でも導入されることになるはずです。その方が利便性がはるかに高いからです。

 人口減少社会の日本でも、技術革新の余地はいくらでも広がっているように思えてくる、そんな予感のする大きなニュースのように思います。

 フランス大統領選に続いて、英国でも総選挙の実施が決まりました。政治の行方はおおいに気がかりですし、世界中で頻発するテロ事件には投資マインドも委縮してしまいかねません。しかし経済そのものは、日々の変化がますます速まっているように感じられます。

 新しい変化に目を凝らしておきたいと思います。小型株を中心にベクトル <6058> 、ラクス <3923> 、ユーザベース <3966> 、ネオジャパン <3921> に注目しています。

 *おことわり この記事は、2017年4月22日にYahoo!ファイナンスで有料配信されたものです。

提供:モーニングスター社