工作機械生産額、日本は28年ぶり首位陥落―景気悪化と円高響きシェア3位に後退
2010/03/16 18:43
ボトム圏からの受注回復が続いている工作機械業界。しかし、一方では海外勢との競争環境の激化が浮き彫りになっている。
米調査会社ガードナーの調べによれば、2009年の切削型工作機械の生産額で、日本の世界シェアは約15%となり28%の中国、20%のドイツに抜かれ、82年以降27年続いていた首位の座を明け渡し3位に転落した。日本の同機械の09年生産額は前年比56.5%減の58.9億ドル(約5300億円)と、同35.2%減(78.2億ドル)のドイツと比べ下落幅が大きい。初の首位となった中国は、同8.9%増の109.5億ドルだった。
要因のひとつとして、日本工作機械工業会の中村健一会長は「グローバリゼーションの反動」を挙げる。日本の工作機械業界の主要顧客である日系製造業は、トヨタ自動車
<7203>
やコマツ
<6301>
をはじめ海外市場の強化戦略をとってきた。工作機械メーカーも08年までその恩恵を大きく受けてきたが、景気後退で極端な需要減少に直面。「リーマン・ショック後に円高が進んだことも痛手」(中村会長)となった。輸出比率の高さから、景況感の悪化だけではなく為替影響による競争環境の悪化ものし掛かった。こうした事情が、主力市場をユーロ圏内に持つ欧州メーカーと比べ、シェア後退が顕著となったことの背景にあるという。
牧野フライス製作所
<6135>
の牧野二郎社長も、「中国市場などでは実際、欧州メーカーが勢力を伸ばすなど、日本メーカーは苦戦している」と話す。ユーロ安を背景に、欧州メーカーは現地自動車メーカーなどの需要獲得を有利に進めている状況。牧野社長は「中国以外の新興国でも同じようなことが言える」と警戒感を強めている。
一方、中国の生産額が世界首位となったことに対する不安の声は小さい。「中国メーカーは技術的に日本と競合する域にまだ達していない」(中村会長)ことから、当面は大きな脅威にはならないとする見方があるためだ。浜井産業
<6131>
の武藤公志会長は「世界需要が回復しても、日本は数の上ではもう中国に追いつけないだろう」と指摘し、「今後は、欧州メーカーと新興国市場でいかに争っていけるかが重要となる」としている。(鈴木草太)
提供:モーニングスター社