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沈みゆく野村、背景にリーマンの影

2010/09/22 21:48

 9月22日、野村ホールディングス <8604> の株価は一時418円まで売り込まれ、連日で年初来安値を更新。08年9月のリーマン・ショック後の安値403円(09年3月10日)以来の水準まで落ち込んだ。終値では前日比3円高の429円と値を戻したが、大和証券グループ本社 <8601> やみずほ証券 <8606> 、岡三証券グループ <8609> など他の大手証券の値動きと比べると、直近の野村の株価低迷が目立つ。証券業界のトップに君臨する野村に何が起こっているのか。

 発端は08年9月までさかのぼる。08年9月15日、リーマン・ブラザーズが日本の民事再生法に相当する連邦倒産法第11章(チャプター・イレブン)の適用を連邦裁判所に申請し倒産。リーマン・ショックとして世界金融危機が巻き起こり、グローバル経済に大きな影響を与えた。

 世界の金融機関が激流に呑み込まれるなか、迅速かつ冷静に動いたのが野村。リーマン破たんをグローバル展開強化の一大チャンスと見て、9月22日にはリーマンのアジア・パシフィック地域を、翌23日には欧州・中東地域の株式部門および投資銀行部門を買収した。

 野村によるリーマン買収は戦略的な海外事業強化により将来の収益寄与が期待できるとして評価する声も多くあった。一方で、当時から懸念されていたのが買収した人材の活かし方。報酬体系が異なり高給なリーマン社員の能力を引き出す経営ができるかどうかが最大の焦点となり、リーマン買収による収益寄与とコスト負担との綱引き状態が続いていた。

 それから2年。野村によるリーマン買収の正否は株価が証明している。

 08年9月16日(リーマン・ショック後の初の終値)を基準に大和証G、野村、みずほ証、岡三の4社において株価推移を見ると、日経平均株価が安値を付けた3月10日時点の4社の騰落率は、大和証G:マイナス54.3%、野村:マイナス68.1%、みずほ証:マイナス52.3%、岡三:マイナス41.1%。9月21日までの騰落率では、大和証G:マイナス53.0%、野村:マイナス67.3%、みずほ証:マイナス36.7%、岡三:マイナス44.4%となっており、いずれも野村の下落率が他3社に比べて大きい。これは投資家が株式市場を通じて野村のリーマン買収をネガティブに受け止めた証拠といえるだろう。

 リーマン買収に関する正否は野村の業績面からもうかがえる。リーマン買収による影響が最も大きいと見られるホールセール部門(グローバル・マーケッツ)での収益合計(金融費用控除後)の四半期推移は、10年3月期の第1四半期:1871億円→同・第2四半期:1745億円、同・第3四半期:1639億円、同・第4四半期:1330億円、11年3月期の第1四半期:964億円と低迷。一方で、リテールである営業部門では委託・投信募集手数料が頑強に推移しており、ホールセール部門が全体収益を圧迫する構図が続いている。確かに10年5月のギリシャ・ショックなどが証券業界の逆風となっているが、野村のホールセール部門の低迷はリーマン買収が重荷となっている面もありそうだ。

 さらに、10月29日に発表が予定されている野村の11年3月期の第2四半期業績についても低迷が懸念されている。JPモルガン証券では、9月10日付のリポートで、「国内子会社の野村証券は黒字だが、海外で赤字の可能性が高い」とし、第2四半期(7−9月)の最終損益を180億円の赤字(11年3月期・第1四半期は23億円の黒字)と予想。野村に対する投資判断を「オーバーウエート」(強気)から「ニュートラル」(中立)に引き下げている。

 リーマン買収から2年が経ち、いまだ活路を見いだせない野村。沈み行く国内証券業界の重鎮が浮上するのはまだ先か。株式市場への影響も大きいだけに早期の復活を期待したい。

提供:モーニングスター社