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<話題>独が2022年の原発停止合意、一方で原発大国・仏からは電力購入も

2011/05/31 17:03

 ドイツの連立与党は5月30日、2022年までにすべての原発を停止することで合意した。政府倫理委員会が10年以内の脱原発が可能との提言したことを受けてのもので、東京電力 <9501> 福島第一原発の事故がきっかけとなったようだ。

 ドイツには現在17基の原発が稼働しており設備発電容量2151万kWは世界第5位、国内電力の23%(09年)を供給する。ポーランドが13日に原子力法修正案を可決し、何としても20年末までに原発初号機の完成を目指すとした動きとは正反対のもので、2割もの電力をまかなう原発すべてを廃止するという決定はかなり思い切ったものと言えるだろう。

 しかし、ドイツが原発電力をまったく使わないのかというわけではない。隣国フランスは電力の8割を原発にたよっているが、ドイツはそのフランスから電力を購入している事実があるからだ。フランスもドイツから相当量の電力を購入しており、電力売買がフランス→ドイツという一方的な流れではないものの、原発による電力供給維持を明言しているフランスから電力を買っていることは事実。原発を廃止するのに原発大国から電力を買い続けるのでは、「ドイツは自分のことしか考えていない」と非難されても仕方ない。

 ただ、ドイツではもともと脱原子力政策を進めており、01年6月に独政府は原発を段階的に閉鎖することで電力会社と合意、最長でも32年間運転することとしていた(10年10月にさらに12年間の延長が決定)。ある意味、今回の決定は停止の前倒しになる。脱原発はドイツだけではなく、原発5基を保有するスイスも2034年までに原発を停止する方針を打ち出しており、欧州では原発に対する路線が割れている。しかし福島原発事故の影響は大きく、流れとしては原発抑制に向かう可能性は高い。

 原発を停止した国は不足電力のすべてを他国からの購入に頼るわけにはいかず、自然と原発代替エネルギーを模索することになる。すでに30日の合意を受け、欧州では代替エネルギー銘柄として、風力・太陽光関連のリニューアブル・エナジー(ノルウェー)、ベスタスウィンドシステムズ(デンマ−ク)、SMAソーラー(独)、Qセルズ(独)が上昇する一方、欧州原発関連銘柄のRWE(独)、エーオン(独)、カナダのウラン関連銘柄カメコ、ウラニウム・ワン、エクストラクト・リソーシズなどが下落した。

 特に原発代替の本命ともいえる太陽光発電は新規導入量がフィード・イン・タリフ(FIT=固定価格買い取り制度)を背景に各国で急増しているため、関連銘柄への期待は大きい。例えばドイツでは太陽光発電の設置発電容量は1700万kWだが、10年だけで約700万kWを設置する急伸を見せた。日本でも菅首相が20年代のできるだけ早い時期に自然エネルギーを全発電量の20%超にし、太陽光パネルを1000万戸に設置する目標を掲げた。

 太陽光は発電単価がほかの発電設備に比べ突出して高く補助制度がなくなったり減額になれば普及に時間がかかってしまうのは難点だが、メーカー間の競争は激しくコストは下がっている。普及への流れは止まりそうにない。(宮尾克弥)

<日本の主な太陽光発電銘柄>
 ウエストホールディングス <1407> 、トクヤマ <4043> 、カネカ <4118> 、三菱ケミカルホールディングス <4188> 、昭和シェル石油 <5002> 、日本板硝子 <5202> 、日本ガイシ <5333> 、日本軽金属 <5701> 、旭ダイヤモンド工業 <6140> 、エヌ・ピー・シー <6255> 、東芝 <6502> 、三菱電機 <6503> 、アルバック <6728> 、シャープ <6753> 、ソニー <6758> 、京セラ <6971> 、フェローテック <6890> 、ホンダ <7267> 、島津製作所 <7701> 、大日本印刷 <7912> 、日本写真印刷 <7915> 、リンテック <7966> 、国際航業ホールディングス <9234> 、ソフトバンク <9984> 。

 用語解説「フィード・イン・タリフ」=再生可能エネルギーの導入促進を目的に、政府が太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電力の買い取りを保証したり、買い取り価格を優遇するなどの制度。

提供:モーニングスター社