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<新興国EYE>東京よりも高いアンゴラの物価水準、その理由とは

2011/07/15 09:14

 東京よりも物価が高い都市がアフリカ大陸にある。その意味するものは――。米コンサルティング会社マーサーの日本法人が毎年発表する「世界生計費調査」。多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬、手当てを見積もる際の指標となっているもので、5大陸214都市で200品目以上の価格を調査。政治的混乱や自然災害などを含む世界情勢の推移に伴う現地通貨価値の変動などが順位に影響する。

 今回(12日発表)は昨年調査に続き、アフリカ南西部にあるアンゴラ共和国の首都ルアンダが1位、東京が2位。以下6位まで変動はなく、3位はアフリカ中央部にあるチャド共和国の首都ヌジャメナ、4位はロシアのモスクワ、5位スイスのジュネーブ、6位が大阪となった。ちなみに前回の7位から順位は落としたが12位には中部アフリカのガボン共和国の首都リーブルビルがランクイン。09年の1位、2位は東京、大阪でアフリカ大陸の都市ではエジプト・カイロの57位が最高という程度だったから、昨年から経済的重要度の高まりを背景にアフリカ勢が国際的に台頭してきたことを表している。

 ただ、「ルアンダが東京よりも上」という点は少し深く背景を押さえたい。生計費は最も大きな割合を占める住居費の水準に左右されやすい。そのため住宅の戸数不足も住居費の上昇を招き、生計費を変動させる。アンゴラは石油やダイヤモンドに恵まれ、特にサブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカではナイジェリアと並びトップ級の産油国。地下資源の開発ラッシュに恩恵を受け、経済発展は著しい。

 そう考えると経済発展による物価高もうなずけるが、02年の内戦終了後に海外から労働者が殺到した際、多くの住宅が内戦の傷跡もそのままに劣悪な状況だったことから戸数不足が深刻化。競争により家賃価格が上昇してきた裏事情は見逃せない。ルアンダの海外駐在員向け住居は日本円で家賃が月100万円以上というのが一般的のようだが、東京の住宅ほど質が高いわけでないというのはこのことが響いている。

 加えてルアンダの場合は治安の悪さも響く。在アンゴラ日本国大使館によれば、ルアンダで外国人が夕方に徒歩で外出すると銃を持った強盗に襲われる危険があるため、車内で数時間耐えることにもなるというから、日本では考えにくい恐ろしさだ。このため家賃水準の高さには安全性の確保というコストが上乗せされた面もあるだろう。住居以外でも食料品や生活物資はほとんどが輸入品頼みで値段が高くなりがち。日本ではハンバーガー店で数百円もあればぜいたくができるが、ルアンダでは数千円出してやっと満足というのが実態のようだ。こうしたことが重なり「東京よりも上」を形成しているとみられる。

 生計費3位のヌジャメナ(チャド)にしても治安の悪さで知られ、日本の旅行会社も渡航自体を薦めていない。サブサハラ以南最大の経済大国である南アフリカをはじめアフリカ諸国に経済的成長への期待から関心が高まり、多国籍企業が駐在員を置く動きは増えている。ただ、治安の悪さや政治の腐敗などが散見される国家は多く、並行して安全へのリスクも考慮していかねばならない。アフリカ勢の生計費の高さにはそうした事情も表れている。

<2011年世界生計費調査ランキング・上位10都市>

 1位 ルアンダ(アンゴラ)
 2位 東京(日本)
 3位 ヌジャメナ(チャド)
 4位 モスクワ(ロシア)
 5位 ジュネーブ(スイス)
 6位 大阪(日本)
 7位 チューリッヒ(スイス)
 8位 シンガポール(シンガポール)
 9位 香港(香港)
10位 サンパウロ(ブラジル)

提供:モーニングスター社