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<EMeye>日露中の新物流ルートにも原発事故の影響

2011/11/14 11:22

 こんなところにも、福島第一原発事故の影響が――。

 今年8月18日に新潟東港とロシアの極東地域のザルビノ(トロイツァ)港を結ぶ定期貨物便が就航した。

 これにより、日本とロシア極東地域を結ぶ新たな物流ルートが出来上がったほか、ザルビノ港から鉄道やトラック輸送により、中国東北部の吉林省琿春(ふんちゃん)市に至る全長約900kmの日露中の貨物輸送ルートが確立した。

 これまで吉林省を中心とした中国北東部への貨物輸送は、中国の大連経由が中心で10−15日の期間がかかったが、このルートの開通により、4−6日に短縮されることになった。

 新ルート開通の背景には、ロシアが極東開発を加速するなかで、日本との関係強化を図っていることが挙げられる。特に、ロシア極東地域と新潟県を中心とした日本海側の自治体との交流が盛んになっている。

 また、ロシアと中国の間では、09年9月に「09−18年の中国東北部とロシア連邦極東・シベリア地域の協力プログラム」が策定され、国境を接するロシア極東地域と中国東北部の共同開発戦略が進んでいる。

 こうした背景から日本−ロシア−中国という新たな物流ルートが出来上がり、経済産業省も新潟県も新たなルートの確立による日露・日中貿易の拡大に期待を寄せている。

 新潟東港とザルビノ港間の定期貨物船を運行している飯野港運も「ロシア向けには、ナホトカとの定期航路を運行しており、ザルビノへの定期航路では、中国向け貿易の拡大に期待している」という。

 特に、吉林省琿春市は延辺朝鮮族自治州という朝鮮人自治区の一角にあたり、非常に日本の食べものが人気のある地域であり、日本の食料品の輸入が盛んだ。

 しかし、そこに思わぬ落とし穴があった。3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故である。この事故により、日本の食品は「放射性物質に汚染されている」というレッテルが張られた。中国が、新潟からの食品の輸入禁止措置を取っていることで、中国向け輸出ができない状態にある。

 飯野港運では現在、1500トンの中型貨物船を航行させているが、同社の関係者も、「原発事故は不測の事態だった。ザルビノ港への定期貨物船は、日本からの荷物が非常に少ない状態になっている」としている。これでは、画期的な日本からロシア経由の中国東北部への輸送ルートも“宝の持ち腐れ”になってしまう。

 それより危ぐされるのは、このルートが今後も維持できるのかという点。実は、09年7月に日本、中国、韓国、ロシアの共同事業として、新潟から韓国の束草(そちょく)を経由し、ザルビノまでの「北東アジア航路」が開かれたものの、採算が合わずにわずか2カ月で運行を停止した例がある。

 中国東北部への新物流ルートを軌道に乗せ、日露間、日中間の貿易を拡大するためにも、放射性物質汚染問題はもとより、各国の通関手続きの簡素化や陸路における鉄道輸送の円滑化などの課題について、各国が前向きに取り組み改善していく必要があろう。

提供:モーニングスター社