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<EMeye>日本支援でエジプトに新博物館、観光客減少の起爆剤になるか

2012/03/13 16:11

 エジプトの首都カイロで12日、大エジプト博物館の着工式典が行われた。新博物館はカイロ郊外ギザにあるクフ王などの大ピラミッドから2キロの地点に建設し、新しい観光の目玉とする。完成予定は15年8月で、総工費は約630億円。

 建設にあたり日本の国際協力機構(JICA)は、エジプト文化省に大エジプト博物館建設プロジェクト用資金として総工費の半分にあたる348億円を円借款で供与。資金は博物館本体の建設および展示内装デザイン、景観都市デザイン、情報通信技術の整備などに充当する。また、収蔵品の修復といった技術面でも協力していく。

 エジプト考古学博物館(カイロ博物館)は収蔵点数20万点にも及ぶ世界有数の博物館で、ツタンカーメン王の黄金マスク、ラムセス2世のミイラ、紀元前2650年頃と思われるエジプト最古の彫像、ジェセル王彫像などが展示されている。

 ただ、文化財の3分の2は地下の倉庫に眠っており、博物館自体も1902年建築のため老朽化が著しい。現在の博物館はカイロ中心部タリハール広場に隣接しているため拡張が難しく、新規に博物館を建設することとなった。新博物館は10万点の文化財を収蔵し、この中にはツタンカーメン王の黄金マスクやギザのピラミッド脇にある「太陽の船」も含む。大エジプト博物館開館後、エジプト考古学博物館は芸術作品を中心に展示していく。

 世界旅行産業会議(WTTC)によれば、エジプトの観光業はGDP(国内総生産)の2割近くを占め、国内総雇用数の約14%が観光業に従事する重要産業。しかし、暫定政府のモニール・ファクリ・アブデルノール観光相によれば、11年は政変や相次ぐデモの影響からエジプトへの観光客は前年比33%減の980万人と激減し、観光産業は大きな打撃を受けた。そのため観光客誘致は急務となっており、新博物館は起爆剤としての期待が高い。

 完成後は、ギザの大ピラミッド観光の後に博物館を巡るというのが新しい定番観光コースとなりそうだ。不安があるとすれば現在のエジプト考古学博物館は市街中心部に位置し地下鉄など交通の便が良いのに比べ、市内中心部からやや距離のあるギザは移動に不便さが出そうな点だろう。

提供:モーニングスター社