2008-11-13
市場関係者には映画好き、芝居好きが多い。筆者の知人には、「学生時代には映画監督に本気でなろうと思っていた」という人もいるし、実際に映画に出た人もいる(エキストラだけれども……)。映画監督になればおのずからシナリオに関与せざるを得ないから、映画を撮るということは、必然的にシナリオを考えることにつながる。
シナリオを考える上で重要なのは、筋(プロット)だが、その筋を組み立てているのが、「局面」だ。「局面」とは、細かな一つ一つの「場面」の積み重ねだ。「場面」が重なって一つの「局面」を作っていく。「回り舞台」のように急変・大転換するかもしれないし、同じような「場面」がいつまでも続き、後から見ればもち合い「局面」になっているかもしれない。
「相場を考える」ということは、「先行きを読む」ということだから、一種「シナリオを考える」ということにもつながる。世には「シナリオ・ライティング」という手法があって、大まかに言って、状況が(1)好転する場合(2)悪化する場合(3)現状維持――の3通りを考えるのが基本だ。そのうち、確度が最も高いものを「基本シナリオ」として想定するが、「危機管理」として、幾分かは確度の最も低い場合への対処も考慮しておく。状況や環境に応じて、絶えず「軌道修正」も図っていくのがベターだ。
さて、現在の「局面」を株式だけでなく為替や原油先物で考えると、強弱観が対立しており、「基本シナリオ」が描き切れていない。「(長期的には)これから上がる」と言う人もいれば、「これからまだ下がる」と言う人もいる。少なくとも日本株に関しては、「10月安値で底打ちしたかもしれないが、景気や企業収益の先行きが不透明だから上がりにくい」と考えている人が多いように思う。ドル・円に関しても「年末にかけて1ドル=90円割れ」説がいまだにくすぶっている。「円高→日本株安」「円安→日本株高」という構図はまだ続いているから、仮に「90円割れ」説の確度が高ければ、日本株ももう一度急落場面があるかもしれない。
一方で、10月の現物株に対する個人投資家や、信託銀行を経由した自社株買いや公的年金・企業年金の買いは「下値支え要因」として安心感があるのも事実だ。「10月安値=底値」説の根拠ともなっている。典型的な「逆張り」投資で数年タームでものを考えている投資家には「好機」である可能性が高い。ただ、向こう1年間で「順張り」戦略を考えてみると、やはり「強気」にはなれない。先行きが曖昧模糊(あいまいもこ)としているからだ。あまり下は考えなくてもよいかもしれないが、「下がりにくいし、上がりにくい」相場にはやはり手は出しづらい。相場は後になってみなければ、過去の「局面」がどうだったのかは分からない。相場巧者でも先行きを読みあぐねている現在、「相場の神様」しか先行きは知らない。
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