アナリストの視点(国内株式)

消費志向が微妙に変化――百貨店、GMSが収益改善、ダイエーは業績上ブレの公算

2010-07-16

 ユニクロを国際展開するファーストリテイリング(9983)など、ごく一握りの企業が小売業界の勝ち組として君臨する一方で、かつての勝ち組、百貨店やGMS(総合スーパー)は凋落(ちょうらく)の一途をたどっている。ただ、この流れに微妙な変化が生じている。

 ファストリテは今8月期連結業績を、7月8日の第3四半期累計(昨年9月〜今年5月)決算で下方修正した。売上高を従来予想の8340億円から8150億円(前期比18.9%増)、営業利益を同1405億円から1330億円(同22.4%増)に減額。下期(3〜6月)の国内ユニクロ事業の既存店売上高が前年同期比92.6%と前年実績を割り込んでいるためだ。その理由はさまざまあるが、一言で言えば異常なまで好調だった前期の反動だ。
 王将フードサービス(9936・大)が12日発表した6月の既存店売上高は、前年同月比95.9%と35カ月ぶり前年実績割れとなった。前期は頻繁にマスメディアに取り上げられた結果、既存店売上高が前々期比118.5%と大幅に伸長。特に昨年6月は125.9%と月間ベースで過去最高の伸び率を記録。その反動で前年割れとなった。
 百貨店の老舗、高島屋(8233)の今2月期第1四半期(3〜5月)連結営業利益は、39億8300万円(前年同期比87.6%増)と大幅増益で着地。これに伴い8月中間期営業利益を、期初計画の55億円から60億円(同15.0%増)へ上方修正した。構造改革に伴うコスト削減効果に加え、5月度の国内百貨店売上高が26カ月ぶり前年実績を上回るなど業績底打ち感も台頭。松屋(8237)も8月中間期の業績を上方修正した。足元で、百貨店売上高が想定を上回って推移しているため増額したという。
 デフレ下の勝ち組の代名詞ともなっているファストリテは、確かに低価格を武器に高成長を遂げてきたが、ユニクロブランドを確立した今、景気が大幅に好転したからといって、屋台骨を揺るがすほど収益が悪化するとは思えない。「餃子の王将」の名がすっかり定着した王将フードも同様だ。

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 ただ、個人の消費志向は微妙に変化し始めており、業界勢力図に多少なりとも影響を与えかねない。「昨年11月ごろを底に中価格帯の動きが活発化。消費行動の潮目が変わってきた」(ドン・キホーテ〈7532〉)との指摘もある。しかも、こうした傾向は月を追うごとに顕著になっている。昨年実施した給与・賞与のカットを、今年4月(企業によっては今年1月)から復元する企業が多く、また今夏の賞与は前期実績を上回るなど、家計にゆとりが出てきたためだ。子ども手当の支給も消費マインドを向上させている一因。
 デフレ経済をまだ克服している訳ではないが、家計環境の好転が、負け組に甘んじていた百貨店やGMSに恩恵をもたらす可能性は強い。今2月期第1四半期段階で、すべての利益が8月中間期計画を上回っているダイエー(8263)は、利益上積みの公算が大きい。特に6月以降は既存店売上高も上向いており、通期の業績上方修正の可能性も高まってきた。

(久下 隆)


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