2010-09-03
ネットの普及で世界が小さくなった。わざわざ現地に赴かなくとも、ネットの映像で世界中の名所・旧跡を訪ねることもできる。しかし、情報が増えれば増えるほど、実際に足を運んで体験しようという逆説的なニーズもまた増える。
7月から中国人観光客へのビザ発給要件が緩和された。ビザ緩和が実施された後の7月の訪日中国人観光客は前年同月比で何と2.4倍の16.5万人に膨らんだ。日本政府による誘致活動が功を奏している面はあるが、中国人の日本への関心はますます高まっている。2010年の中国人訪日者数は180万人程度になると予想されている。
一方、8月21日から24日まで中国の杭州市で開かれていた第5回日中韓観光大臣会合での共同声明では、日・中・韓の3国間の相互訪問者数を2010年の1700万人から15年には2600万人に拡大することを目指すという。また、これに伴い、中国政府が中国人向けの海外旅行業務を外資企業にも開放するという。日本の旅行業者にアジア圏で新たなビジネスチャンスが訪れる可能性がある。
さて、外国人観光客の中でもひときわ注目を集める中国人。その背景には“金の使いっぷり”の良さがある。観光庁によると、10年1〜6月に日本を出国した訪日外国人の平均旅行費用(日本以外で支払った運賃などを含む)は約20万円、日本国内でお土産などに支出された費用は約10万円だった。国籍別で見ると日本国内で支出された費用は1位がロシアの17.4万円、2位フランス、3位ドイツに次いで、中国が13.7万円で第4位につける。しかし、これは香港8.2万円、台湾7.7万円、韓国7.7万円を大きく離し、アジアでは断トツに位置する。
また、同期間に日本を出国した外国人旅行者は約219万人で、この旅行者が国内で支出した総額は約2282億円。このうち中国が503億円と22%を占めトップ。日本国内で落とすお金という意味では、中国が1番の上客ということになるわけだ。
10月には羽田空港の4本目の新滑走路が供用開始となり、国際定期便が就航する。羽田のハブ(拠点)化で、中国をはじめとしたアジアとの距離は一段と近づくことになるだろう。
アクセスランキング(過去1週間)
中国人が日本で買いたいものベスト3は、化粧品、デジタルカメラ、食料品。行きたい場所は東京、富士山、北海道、大阪・京都。関連としては資生堂(4911)、サンリオ(8136)、オリエンタルランド(=OLC、4661)、エイチ・アイ・エス(=HIS、9603)、一休(2450)、京浜急行電鉄(9006)、日本空港ビルデング(9706)などが挙げられ、株価はいずれも強い動き。日本国内では、大挙して訪れる中国人観光客にまゆをひそめる向きもあろうが、かつて日本人も同様の道をたどったのではなかろうか。ビジネスの世界は既に動きだしている。
(田代 哲哉)
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