アナリストの視点(国内株式)

中国への農水産物輸出利権疑惑、政争の具に巻き込まれたO社

2012-02-03

 「野田総理訪中をめぐって起きた官邸内の内部紛争」という文書が永田町の話題となったのは、1月中旬のこと。
 さらに、有田芳生参議院議員(民主党)がツイッターで「捜査当局が近く最終判断」とつぶやいたことで、大手マスコミが一斉に取材に動き、この話は複数の週刊誌にも掲載された。

 文書の内容は、鹿野道彦農水大臣と筒井信隆副大臣が中国へ日本の農水産物の輸出を促進するため、北京に常設の農水産物展示場を開設する計画を進め、日本側窓口として「農林水産物等中国輸出促進協議会」を設立した経緯について述べられている。

 文書が問題として指摘しているのは、(1)農水産物の輸出問題であるにもかかわらず、農水省、外務省などの所管官庁がこの計画を知らなかった(2)東日本大震災の影響で、中国側が日本の農水産物の輸入禁止措置を行っているにもかかわらず、計画を強引に進めた(3)その結果、計画が頓挫しかかっており、北京の展示場の賃料約1億円を滞納している(4)展示場の開設に当たり、中国の内装業者から数百万円のマージンを受け取っている(5)協議会の代表理事に樋口俊一衆議院議員の公設秘書が就いている(6)協議会の会員になれば、中国での検疫手続きが免除されるとして、会員集めをした――などの点。

 1月中旬に文書を入手してから、水面下で取材を続けたが、どうも様子が違う。農水省は当初から関与しており、協議会設立のための農水産物業者に対する説明会にも同席している。入手した農水産物業者への協議会参加の依頼文にも、検疫が免除されるなどとは書かれていない。

 事の真偽は大手マスコミに任せるとして、この文書がただの怪文書ではなく、妙なリアリティーを持って受け止められた背景には、協議会の基金へ出資した出資者の実名と金額が明らかにされていたことがある。そこで、出資者として名前が挙がっている中で唯一の上場企業で、3,000万円を出資したとされるO社を直撃した。

 同社の担当者は、「当社は正式な社内の手続きを踏んで、3,000万円を出資している。協議会については、農水省担当者からの説明もあり、きちんとしたものと認識している。展示場が早く軌道に乗り、成果が上がることを期待している」と述べた後、「いや〜、大手マスコミのほとんどから取材がありました。中には協議会を詐欺で訴えないのかという声もありました。本当に迷惑な話です」と心底からの困惑顔。

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 この文書が政官の対立からか、政争の具として出されたのかは知らないが、政治家や官僚の愚行で迷惑を被るのは、常に民間という構図はいつも同じだ。

(鈴木 透)


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