2012-02-23
今月2日、東京証券取引所の株式売買システムに障害が発生し、同取引所に上場する241銘柄と札幌証券取引所に上場する全74銘柄が売買停止に追い込まれた。売買停止となった銘柄のなかには、コマツ<6301.T>、ソニー<6758.T>、東京電力<9501.T>など日本市場を代表する中心銘柄が含まれており、相場への影響が懸念された。取引できない銘柄も多く、「買いの勢いを弱める一因になった」(中堅証券)との見方もあった。当日の日経平均株価は8,865円で始まり、後場に8,893円の高値を付け、8,876円で取引を終了した。
今回の障害は、株式売買システム「arrowhead(アローヘッド)」を構成するシステムのうち、相場情報を配信するシステムのサーバー8台のうちの1台で障害が発生。会員証券をはじめ情報を提供する企業などへのデータ送信ができない状態となった。東証は午前8時40分に、該当する241銘柄の売買停止を決定。同システムを利用する札幌証券取引所も同様の措置を取った。10年1月4日から稼働を開始した「arrowhead」にとって初めてとなる大規模なシステムトラブルとなった。予備機に切り替える作業を行った結果、後場からの売買は正常に行われたものの、東証が失った信用を取り戻すには、相応の時間が必要となりそうだ。
16日に東証が公表した資料によれば、2日午前2時に発生したハード障害を契機とした予備系への切り替え処理が正常に完了していないことが原因だとしている。同システムは、サーバーを三重化することによって高い信頼性を確保するとともに、障害診断ツールを整備して確実に障害を検知する仕組みを構築していた。しかし、バックアップ体制を厚くして作られていたが故に、「もしも」の時の対応について落とし穴があった可能性もありそうだ。また、業務に影響を与える可能性が発生した場合には、業務に影響があると「確定」した場合に経営陣まで報告するルールとなっていた。同所は、株式会社化される以前、「最も官僚的な役所」と揶揄(やゆ)されるほどの状況だったが、現在も悪しき慣習が残されていたとしたら残念でならない。
再発防止策として、障害対応の体制面での改善および強化、確認手順および確認項目の明確化、速やかな復旧に向けた取り組み、自動切り替え発生時の動作確認などを行うとしている。また、Tdex+システム(先物・オプション売買システム)、ToSTNeTシステム(現物立会外取引システム)、相場報道システム、指数統計算出エンジン、清算システムおよびTDnet(適時開示情報伝達システム)についても同様の観点での確認、対応を4月までに行う予定。今回のトラブルを教訓に、それぞれの結果を踏まえ万全の体制を構築することを願いたい。
東証のシステムに絡んだ売買停止といえば、06年1月18日の「ライブドアショック」によるシステム処理件数の増大を原因とする「全銘柄の売買停止」が思い起こされる。翌日の19日から後場の立会時間を30分遅らせ午後1時からにする一方で、システム処理件数の増加を行い、4月24日には通常取引に復帰した。その間の日経平均株価は、1月18日の終値1万293円から3月11日に1万2,034円まで約16.9%上昇している。仮に2月2日の終値8,876円から同率の上昇となれば、1万376円となる計算。「災い転じて福」となるか注目される。
(高橋 克己)