MORNINGSTAR アキュセラ
特別インタビュー「アキュセラ(4589・マザーズ)眼科医 窪田良会長、社長兼最高経営責任者(CEO)に聞く」

特別インタビュー「アキュセラ(4589・マザーズ)眼科医 窪田良会長、社長兼最高経営責任者(CEO)に聞く」

――開発中の薬品にはどんなものがありますか。現在の状況も教えてください。

「当社は加齢黄斑変性をはじめとする網膜疾患に対する治療薬開発を目的として、2002年に米国シアトルで創業し、2014年2月に東証マザーズへ上場しました。現在は、網膜に薬剤を届けるには眼球に直接注射する方法が一般的ですが、当社は加齢黄斑変性の治療薬を飲み薬として開発中です。飲み薬で治療するという試みは眼球注射にくらべ侵襲性が低く、患者さんの負担を軽減でき、非常に画期的です」

「加齢黄斑変性にはドライ型とウエット型の二つのタイプがあり、併発する患者さんもおられます。ウェット型には治療薬として眼球への注射剤があるのですが、ドライ型には、認可を受けた治療薬は存在しません。当社は、このドライ型に対する治療薬を開発しています。2014年の患者数は全世界で約1億3500万人と推定されています。全体の約90%がドライ型で、そのうち約15%が中等度、または地図状萎縮を伴う進行性のドライ型加齢黄斑変性を発症しています」

「当社が開発中のドライ型加齢黄斑変性治療薬『エミクススタト』は、2008年に臨床試験を始めてから、これまで に800名近い被験者への投与が行われており、安全性に関する問題は報告されていません。臨床試験の進ちょく状況は現在、臨床第2b/3相試験で、508名の患者さんに参加いただいて大規模臨床試験を実施しており、今夏、トップラインデータを公表する予定です」

「臨床第2a相試験のデータは、解析対象の被験者数が小規模であることから統計学的有意差を示すものではありませんでしたが、偽薬(プラセボ)を投与したグループに対し、『エミクススタト』投与グループは、萎縮病変の面積の増加を3ヶ月で約20%抑えられた傾向が示されました。地図状萎縮は時間の経過にともない病変部が広がるため、その進行をいかに早期に抑制できるかが重要であり、臨床第2a相試験で示された傾向は有望と考えています」

――2010年にノバルティス(スイス)がアルコン(米国)を買収、2013年にはバリアント(カナダ)がボシュロムを買収し、2015年11月にはファイザー(米国)がアラガン(アイルランド)を経営統合すると発表するなど、メガファーマの眼科領域に対する注目度が向上しています。眼科領域に特化するベンチャー企業ならでは強みは何ですか。

「眼科領域は、年間の成長率は約6%で、世界の眼科医薬品の市場規模は2011年の175億米ドル(120円換算で約2兆1000億円)から、2023年には347億米ドル (約4兆1640億円)に達すると予測されています(米調査会社ビジョンゲイン 2013年)。その背景にあるのが、社会の高齢化です」

「眼科の医療技術は日進月歩で、イノベーションも数多くあります。しかし、大手製薬企業が共同開発に踏み切る技術、イノベーションは一握りに過ぎません。大手の共同開発や買収の対象になっていない有望なベンチャーも多く、そこに我々のチャンスがあると思います。治療方法の確立していない疾患(アンメットメディカルニーズ)により失明していく患者さんは大勢いらっしゃいます。できるだけ多くの患者さんを、より負担の軽い治療法をもって救いたいという思いがあり、眼科専門の創薬から眼科医療ソリューションへと事業拡大を図っています」

窪田 良氏

アキュセラ
社長兼最高経営責任者(CEO)

窪田 良

――そういった研究開発を米国で展開するメリットには何がありますか。

「当社が開発しているのは、地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性の治療薬で、ドライ型には認可を受けて上市された薬が世の中に存在しません。世の中に存在しない新薬の認可を目指すということは、FDA(アメリカ食品医薬品局)といった新薬を認可する機関と協議の上、薬効、安全性など満たすべき基準なるものをゼロから定めていく必要があり、それをしやすいのは米国と考えています」

「また、前例がない研究開発ができる、眼科専門の研究者が世界中から集まっているのも米国の強みです。米国は人材の流動性が高く、当社のように眼科領域に特化した企業が必要とする能力ある人材がマーケットに存在し、人材の確保がしやすい面もあります。さらに、イノベーションを生み出す環境として、当社は人材の多様性を重視しており、能力だけではなく、さまざまな文化的背景、価値観から世界を変えるイノベーションが生まれるとの考えもあることから、米国に研究開発拠点を置くことは重要だと思っています」

――インライセンスの方針はいかがですか。将来のビジョンも教えてください。

「インライセンスを通して強化していくプログラムは2年程度でPOC(Proof of Concept)が取れるものを考えています。基本的には自社研究の強みを生かして、開発期間を短縮できる新技術の導入を図り、自社開発を強化して、事業ポートフォリオを拡大することにも取り組んでいきます」

「当社には創業当初より掲げている『世界から失明を撲滅する』というビジョンがあります。それに向けて、創薬から医療技術へと事業を広げ、後眼部から前眼部までの全ての眼科領域を網羅する医療ソリューションを提供する会社を目指します」

窪田 良氏

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