低コストのインデックス運用における第一人者であるバンガード・インベストメンツ・ジャパン代表取締役のディビッド・サーマックさんに「バンガードのファンドに資金が集まる理由や会社の強み、今後の展望」についてお話を伺いたいと思います。
1976年8月、バンガードは米国ではじめて個人投資家にインデックスファンドを提供し、今年で40周年を迎えました。世界的にインデックスファンドへの資金流入が加速していますが、この理由の一つは、アクティブファンドに比べてインデックスファンドのパフォーマンスが優れているということが挙げられます。
サーマック氏:バンガードは、現在アメリカ国内外の様々な株式や債券、セクターに投資するインデックスファンドを200本以上提供しています。バンガードのインデックスファンドは他社のインデックスファンドに比べコストが82%抑えられており、世界のインデックス市場全体の39%のシェアを占めています。
朝倉:バンガードがなければファンドの世界はどうなっていたと思いますか?
サーマック氏:おそらくこのインデックス運用という概念は今日ほど広く根付かなかったと思います。当初から非常にいい投資手法だと思っていましたが、ここまで大きなトレンドになることは想定していませんでした。
また、投資に掛かるコストを幅広く引き下げるという役割を果たしてきました。インデックスファンドとバンガードの成長が、資産運用業界のコストを引き下げることに役立っていると思っています。
朝倉:このような効果をモーニングスターでは「Vanguard effect(バンガード効果)」と呼んでいます。日本でも同様の効果を発揮すると考えますか?
サーマック氏:はい、「バンガード効果」が日本でも展開されることを祈っています。私どもの低コストを原則とする投資手法は、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアといった国でも、市場に対して改革を迫るものとなりました。すべての投資家はコストの低いファンドにアクセスできるべきだと考えています。
朝倉:なぜバンガードは、低コストのファンドを提供することができるのですか?
サーマック氏:「オーナーシップ」の重要性に留意する必要があると思います。バンガードは相互所有形態の会社構造になっています。バンガードという会社をファンドが所有し、そのファンドを投資家が所有する。つまり、バンガードの投資家はファンドを通じて間接的にバンガードの株主になるのです。
バンガードには外部株主が存在しないため、バンガードとバンガードの投資家の間に利益の相反が存在しません。
朝倉:バンガードETFTMは、2016年5月末時点での2016年純資金流入額が第1位になりました。なぜバンガードETFは投資家から多くの支持を集めるのでしょうか?
サーマック氏:バンガードETFの構造が第1の理由になると思います。特許を取得しているバンガードETFは、既存のインデックスファンドと合同で、シェアクラスのひとつとして運用されています。この構造には、税制面のメリットや、新しいETFを立ちあげる際も既存のインデックスファンドのスケールメリットを最初から利用できる利点があります。
また、バンガードのレピュテーション(評判)だと思います。バンガードは非常に高い評価を頂いており、多くのクライアントはバンガードを誠実な会社と見て下さっています。
最も重要なことはコストです。バンガードは低コストを追求しており、この哲学が多くの投資家にきちんと理解されていると思います。2004年のバンガードETFの運用残高は60億ドルほどで、その時の平均経費率が0.22%でした。それが2016年3月末時点では5310億ドルに増え、平均経費率は0.12%に低下しています。
朝倉:私の最新刊「マイナス金利にも負けない究極の分散投資術」の中で、お勧めポートフォリオをご提案しているのですが、バンガードETFは85%も占めています。日本の個人投資家の皆さんにメッセージをお願いできますか?
サーマック氏:投資家の皆さまには4つの原則をお伝えしたいと思います。まず、明確で適切な投資目標を決めること。その目標は、あまりに高いリターンを想定してはいけません。次に、アセットアロケーションは現実的な予測に基づいて作らなくてはなりません。リスクやリターンを現実的に想定し、幅広く分散されたファンドを通じて投資をすることで、不要なリスクを避けることができます。
そして、投資にかかるコストをとにかく低く抑えることです。長期的にはコストがリターンに大きな違いをもたらす要因となります。 最後に、長期的な規律をしっかりと保つことです。マーケットの上下に惑わされたり、投資のタイミングをはかることは避けるべきです。
バンガードの4つの基本原則に関して詳しくご説明している「日本の投資家の皆さまが成功する投資家になるためのバンガードの4つの基本原則」 も是非お読みください。
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