ピムコは世界最大の
債券アクティブ運用会社
- 堀井氏:
- SBIボンド・インベストメント・マネジメントはSBIグループとピムコ社が合弁で設立した会社で、債券を中心に運用するファンドを設定・運用している。
- 海野氏:
- ピムコは1971年に米カリフォルニアに設立された運用会社。債券のアクティブ運用に特化した会社で運用資産残高は約162兆円と、債券運用では他の運用会社を圧倒している。
- ピムコの運用の特徴は、全ての運用戦略に共通のマクロの経済予測がある。年4回、全社的な経済予測会議があり、年に1回、3−5年の見通しを検討する長期経済予測会議がある。この長期経済予測会議には、前FRB議長のベン・バーナンキ氏をはじめ、そうそうたるメンバーが参加し、ゲストスピーカーにも参加していただいて、徹底的な議論を行っている。
- 堀井氏:
- ピムコ社の経済予測会議は、米国住宅ローンバブルや欧州債務危機なども事前に予測するなど大変、精度の高い予測をすることで知られている。足元の市場見通しは?
- 海野氏:
- 短期的には、安定しているが、安全とは言い難い。08年のリーマンショック以降は、欧米も新興国も、どこも良くなってきて世界で悪いところがない。中国経済への不安はあるが、この半年、1年では大丈夫だろう。
- 長期の見通しは、安定的だがその持続性には懸念あり。中長期的なリスクは中国における不動産価格の動向や過剰債務問題、先進国の高齢化、政治の問題などがある。これまでは、世界的な金融緩和が問題の表面化を抑えてきたが、今後、金融政策の効果が少なくなる中でリスクが表面化することもあるだろう。
SBIボンド・インベストメント・マネジメント
代表取締役社長
堀井 正孝氏
過去の金利水準より低い
利回りしか期待できない
- 堀井氏:
- 忘れがちなリスクを忘れずに意識しておくことは重要だ。ところで、米国は利上げを始めている。この利上げが債券投資にはマイナスなのでは?
- 海野氏:
- 米国の利上げは、過去になかったようなゆっくりしたペースで続いている。FRBがもっとも恐れているのは、景気の腰折れだ。景気に過熱感がないので、利上げによって、景気が押し下げられることのないように慎重に利上げをしている。
- インフレ率が低い。また、先進国を中心に長期の過剰債務状態が続いているので金利を引き上げにくい状況にもある。長期的に中立的な政策金利を維持したいと考えるだろう。これまでの中立金利は4−5%の水準だったが、これからは、2−3%の水準にとどまるというのがピムコの見方だ。
米国は利上げサイクル入りも、金利上昇は緩やかなものにとどまる見通し
- 2017年6月30日現在
- 出所: ブルームバーグ、PIMCO、見通し及び意見は予告なく変更されることがあります。
- 堀井氏:
- 景気が回復してきているのであれば、株式への投資に利があるのでは?
- 海野氏:
- これまでの景気回復局面と今回は異なる。現在の資産価格の上昇は、量的緩和の支えがあって実現している。すなわち、将来の成長を先取りした水準ということができる。このため、2011年〜14年にあったような上昇は、今後は期待しにくいと考える。
- 2011年の資産価格は割安だった。現在は、割安とは言えなくなっている。リスクの取り方を変える必要があると思う。着実に稼げるインカムゲインを中心に考えて、不確実なキャピタルゲインには期待しない。17年以降はキャピタルゲインが目減りする環境になっていくと思う。
- ただし、現在の利回り水準は低いので、債券の投資先を賢く選んで、相対的にレベルの高いインカム収益を狙うようにしたい。
ピムコジャパンリミテッド
シニア・バイス・プレジデント
海野 有子氏
ピムコの運用力を活かした
「ベタイン」と
「ベタイン・バランス」
- 堀井氏:
- ピムコの債券運用力を活かしたファンドとして「SBI-PIMCO ジャパン・ベターインカム・ファンド(愛称:ベタイン)」を昨年6月に設定して提供している。「ベタイン」の3つのポイントは、(1)日本企業が発行したドル建ての社債に投資する、(2)為替リスクはヘッジする、(3)信託報酬は低くする――。ピムコが運用するメリットは?
- 海野氏:
- 日本企業のドル建て社債市場は小さい。投資する人も少ないため割安になりがちだ。また、ドル建て債券なので、ドル金利の予測が重要になるが、ここではピムコの経済調査力が活きる。
- 堀井氏:
- 新たに設定した「SBI-PIMCO ジャパン・ベターインカム・バランス・ファンド(愛称:ベタイン・バランス)」は、債券部門をピムコの「PIMCO日本債券コアプラス戦略」という非常に優れた日本債券ファンドで運用し、ときどき株式にも投資する。株式を組み入れるのは、ボラティリティ指数が落ち着いている時で、100のうち40では、株式を持たずに100%債券で運用する。
- 海野氏:
- 「ベタイン」は、株式ほど大きなリスクは取れないが、国債の利回りが低くて魅力がないので、社債という中リスクの商品に投資するという考え方。
- 「ベタイン・バランス」で債券部分の投資対象になっている「PIMCO日本債券コアプラス戦略」は、日本債券で主に運用しながら、追加的に海外債券を組み入れる運用をしている。リスク量は日本債券と同等で、リターンはヘッジ外債並みという商品になっている。
- 世界的に金利水準が低いなかで、相対的に高いリターンをめざすアクティブ型の債券ファンドとして、ぜひ、ご検討いただきたい。