モーニングスターは今年設立20周年を迎える。ファンド オブ ザ イヤーの発表など、公正な第三者の立場で行っている投資信託の評価は、5つ★で評価する格付けとともに、投資信託の代表的な評価基準になっている。同社代表取締役社長の朝倉智也が、タレントの壇蜜さんと対談した。
お金に困らないための対策は?
壇蜜さん
- 朝倉:
- 壇蜜さんは、日本舞踊や調理師の免許も持っておられて多才な方だと聞いています。
- 壇蜜さん:
- 就職難だったので、日本舞踊、調理師、遺体衛生保全士の資格まで取りました。ただ、免許があっても役に立たないと感じるような、就活には厳しい時代でした。
- 事務所に入って、いろんな仕事をしながら30歳くらいまでは、進む道を迷っていました。この仕事だけで食べていけるようになったのは、この4−5年くらいのことです。今でも月曜日になると求人誌を見てしまいます。
- 朝倉:
- それだけいろんな仕事をされてきたのなら、これから、どんな状況になっても生きていける自信があるのではないですか?
- 壇蜜さん:
- どんな状況でもやっていけるとは思いますが、いつかお金に困るような気がしてなりません。それにどのような対策をすればいいのかがわからず、心配になります。
- 朝倉:
- 女性としては、妊娠や子育てなど、大きなライフイベントがあって生活が大きく変わることがあります。現在、働き方改革の議論があって、女性や高齢者に働きやすい環境づくりをしていますが、それは、人の一生に何が起こるか分からないので、立場や環境が変わっても働くことができるようにしようという取り組みです。
- これから寿命がどんどん延びてきます。社会保障である年金、医療、介護などのため、消費税が10%に引き上げられますが、そこで止まるとは思えません。20%くらいまでは消費税が上がっていくと考えた方がいいでしょう。また、年金の受取時期も現在の65歳から、さらに後ろ倒しになると考えられます。
- そのような中で、100歳まで生きることを考える時代になりました。壇蜜さんがおっしゃった、「いつかお金に困ることがくる」というのは、全ての日本人が意識しなければならないことかもしれません。
- 壇蜜さん:
- 最近つくづく思うのは、オジサン、オバサンの時代が人生で一番長いんだなということです。若くてピチピチしている時代は風のように過ぎてしまって、オバサンになって、働いていなければならない時間が長く続くのですね。
- 朝倉:
- わたしたちは、金融商品について、セカンドオピニオンと言うような仕事をしています。中立的な立場で、商品の良し悪しを見極める役割なのですが、投資家の方々と接する機会も多く、女性にも投資に関心を持たれる方が増えてきていると感じます。
- 最近は、「長生きリスク」という言葉も使われるようになって、長生きに備えるお金ということで、投資への関心が高まってきているように思います。
- 壇蜜さん:
- 長生きリスクは感じずにはいられません。対策がわからないのですが、分かっている人は、どうしているのでしょう?
投資していることが気にならなくなる積立投資の効果
モーニングスター
代表取締役社長
朝倉 智也
- 朝倉:
- 壇蜜さんは、投資のご経験はありますか?
- 壇蜜さん:
- いいえ。貯金と保険しかしたことありません。投資については、以前、日本舞踊のお師匠さんが投資をしていて、ずっとパソコンを見ていました。「楽しいけど、どこにも行けない」と言っていたのが印象に残っています。
- ビットコインを薦めた人がいました。寝てる間にお金が増えているのだから、どうしてやらないの? って、カルトみたいで、怖かったです。投資に興味はあるのですが、仕組みがわからないものは、やってはいけないと思っています。
- 朝倉:
- 投資というと売り買いを頻繁にやるというイメージを持っている人が少なくありません。100円で買って、120円で売って、次は何を買おうかと考える。このようなことを延々とやり続けるようなイメージです。
- ところが、毎月、決まった日に1万円ずつ投資するという、積立預金のような投資の仕方もあります。ネット証券などでは、100円から積立ができるところもあります。
- 価格が変動することは悪いことばかりではありません。1コのリンゴが100円で買えるとして、この価格が50円になれば2コ買えます。25円になれば4コです。価格が下がると量が多く買えます。資産の価値は「量×価格」なので、量が多く買えるということは大事なことです。
- たとえば、100万円があるとします。これで株価1万円で株式を買うと100株が買えます。同じ100万円でも100回に分けて、毎月1万円ずつ買っていくと、株価が下がると多く買えますから、最終的に150株が買えたりします。その場合の購入単価は6,600円です。
- 100万円でドンと買っていると、100万円から値段が下がると気になって仕方がないのですが、毎月少しずつ買っていると、値段のことは気にならなくなります。そして、結果的に6,600円で買えたのであれば、100万円のものが66万円以上であれば儲かっているということになります。仕事があって忙しい人こそ、毎月定期的に購入することをオススメします。
- 壇蜜さん:
- そのような新しいやり方だと、新しいお客が付きますね。
- 朝倉:
- 若い、これからの方々に是非、積立で投資を始めてほしいと思います。人生にとって主は仕事で、お金の運用は従です。お金は、何かをやる目的のための手段でしかありません。資産運用をやっていると、お金のことが主になってしまうような人がいますが、それは良いことではないと思います。
- 投資を薦める人は、毎月1万円をコツコツというようなことは言いません。100万円より、1,000万円買ってもらった方が、手数料が多く手に入りますから、1万円ずつなどという投資の仕方はバカらしくて薦めてくれません。ですが、投資する人にとっては、1万円ずつ積み立てて投資していることが気にならない方が望ましいのです。
- もうひとつ大事なことは、分散です。たとえば、1つの企業だけに投資していると、倒産することがあります。その点、投資信託(ファンド)は、皆さんから1万円ずつ集めたお金をまとめて、多数の会社に投資しています。その中の1社が調子悪くても、他があるから大丈夫なのです。
- 先ほど壇蜜さんが、いろんな資格を持っている話をされていましたが、一つの仕事がダメでも、他の資格で仕事が見つかるということもあると思います。いろいろなものを持っていることが身を守るのに役立ちます。
- 株式に投資をする場合でも、日本だけではなく、アメリカも中国も、いろんな国に分けて投資した方がより良くなります。
- 壇蜜さん:
- 日本だけではなく、世界のことも知らなければならないのですね。いつか投資を始められるように、投資の学校があればいいと思います。
- 朝倉:
- そうですね。私たちも、セミナーや講演会を開いて投資の考え方を伝えています。ちょうど会社ができて20周年を迎えるのですが、この20年間、同じことを言い続けてきています。分散投資が大事であること、目先の勝ち負けではなく、長期で投資を考えてくださいということです。
- また、私たちのホームページではシミュレーションができます。いきなり投資をすることはためらわれるという方は、シミュレーションを使って体験してみるのも方法だと思います。シミュレーションは実際の株価の動きなどを反映していますので、実際に投資した時の感覚が分かっていただけると思います。
- 壇蜜さん:
- シミュレーションで稽古してみることはいいことだと思います。稽古で損をしてどうなるかということを経験しておきたいです。ビットコインの話とか、簡単にお金が増やせるような話は、何か怖い話のように感じます。
- 私自身、進路に迷って、しくじって、失敗して、それでも頑張って、ここまでやってきたように思います。長い目で挑戦するということが大事ですね。
- おばさんでいる期間が長いので、うっかり引退しても求人誌を見ているような気もしますが、何か目標をみつけて、楽しみを先送りしながら今日をしっかり頑張っていきたいと思います。今日は、いろいろなお話しをありがとうございました。まずは、シミュレーションを使ったお稽古から始めてみたいと思います。